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北三陸の春の暮らし

岩手の春は、雪解けと共にゆっくりと訪れます。厳しい冬を越えて、自然が一斉に目覚めるこの季節は、命の息吹を強く感じることができます。

春の食卓を彩る山菜たち

岩手の春を象徴するのは、やはり山菜です。3月になると、まだ霜が残る大地からふきのとうが顔を出し、春の訪れを告げます。ふきのとうは春の山菜の先駆けで、その独特な苦味は天ぷらなどで食べると美味しくいただけ、地域の人々によく愛されています。


山菜の天ぷら

その後、4月から5月にかけては、次々と他の山菜が顔を出します。コシアブラタラの芽タケノコウド、そしてワラビなど、約30種類の山菜が楽しめるのが岩手の春の魅力です。豊かな自然が広がるこの地域では、時には50種類にも及ぶ山菜が採れることもあり、山歩きをしながら山菜を収穫したり、みんなで調理するイベントがあったりします。

地元の人々にとって、山菜はただの食材ではなく、季節の移り変わりを感じる特別な存在です。山菜は地域の道の駅にも並び、地元の人々はもちろん、観光客もこの時期に訪れて山の恵みを楽しみます。

塩蔵わかめの作業風景

また、春になると、岩手の沿岸部ではわかめの収穫が始まります。新鮮なまましゃぶしゃぶなどで食べるのも美味しいですが、長期保存のためには塩で漬け込む塩蔵作業が欠かせません。この伝統的な方法で作られた塩蔵わかめは「三陸岩手わかめ」として知られ、地元の方だけではなく、日本中でその豊かな風味としっかりした歯ごたえが楽しまれています。

こうして岩手の春は食と共に歩んでいきます。