甲子園大会中止と文部科学省
2020年における甲子園大会は中止となりましたが、この決定の中で文部科学省はどのような役割を示したのでしょうか。
高校野球はもちろん、インターハイなどは部活動の一環であることはご存知の通りです。高校野球は高野連、その他の運動系部活動は総体連など連盟こそ違えども、学校の部活動である以上は文部科学省の管轄です。
それでは、今回の甲子園およびインターハイを始めとした様々な大会の中止に対して、文部科学省はどのような役割を果たしたのでしょうか。
文部科学省はこちらのページの「問13 部活動の地方大会や対外試合、合宿等の扱いについて、どのように考えていますか。」として回答しています。
主に関連する指針としては、文部科学省スポーツ庁政策課が3月20日に以下の通りの方針を示しています。
逆に言うと、3月20日以降は最新の情報に更新していないということになります。これで本当に良かったのでしょうか。本当に十分検証したと言えるのでしょうか。3月20日以降も日本の情勢は刻一刻と変化し、また、日本にも世界中から最新の情報が数多く入って来ています。この1ヶ月で新たに分かってきたことも数多くあるにも関わらず、3月の情報のみで作られた指針を元に判定を下すのは、いささか疑問が残ります。
また、この指針の内容について見てみると、
感染が収束に向かっている地域では、「3つの条件が同時に重なる場」を避け、徐々に活動を再開を検討するようにと言っています。
また、イベントの前後のについても感染拡大の防止に務める必要があるとも言っています。
全国規模の大会の場合、団体での移動や宿泊が伴うことから、開催が難しいことは指針からも明らかです。それに対して、特に反論はありません。現状では、移動や宿泊のリスクを減らすことが出来る良い案はないので、全国大会は当分の間難しいでしょう。
しかし、地方大会であれば、現在の指針と照らし合わせて見ても、前向きに検討が可能であると思います。
ただし、現在の指針が十分であるとは到底言えないと思います。例えば、接触スポーツと非接触スポーツの分類とそれぞれの取扱についてどうすればよいか、文化系の部活動について室内および室外の活動についてはどうすればよいかといった細かい部分が全くわかりません。これらのことについて、文部科学省からの指針が全く無いと、例えばサッカーは室外の接触スポーツですし、バスケは室内での接触スポーツですが、それぞれの主催者判断で決めろというには無理があります。吹奏楽は声を出しませんが、合唱部などは声を出すので、室内の文化系の部活でも一律にまとめることは出来ないと思います。
文部科学省はこれらの一つ一つの部活動に寄り添い、実態を吟味して、分類していくべきだと思います。柔道と空手で開催可否が分かれるかもしれません。それを主催者に全て任せるのは無理があります。その部活動の実施可否の指針を作り、責任の一部を負うのは文部科学省であるべきです。もちろん最終的な責任は、その時の情勢を見て開催可否を判断する大会主催で有ることは、間違いありません。しかし、その判断材料や指針を示すべき文部科学省が全く口を開かず、他人の振りをして隠れているのは間違っていると思います。
学校が再開するということは、通学および教室内でのリスクはある程度コントロール出来るという判断のはずです。それに対して、部活動についてもどの程度までリスクをとっても大丈夫かという指針を示して欲しいと思います。
このまま、文部科学省が何もしないと、それぞれの基準で動くしかなくなり、過剰もしくは過小なリスクを取ってしまうことが考えられます。過剰なリスクは命の危険がありますが、リスクが殆どないのに部活が出来ないというのも、青少年の健全な育成に対しては不適であると考えられます。
いつが適切かは分かりませんが、可能な部活動から徐々に再開していくべきだと私は思います。そして、再開が遅れる部活からの不公平感による不満や、再開後に感染拡大の場となってしまった場合の責任も学校や各主催団体と一緒に文部科学省も取るべきだと思います。
一日も早く部活動が安全に再開されるのを祈っています。