古田氏が「配球ミス」と指摘した、ヤクルト古賀のリードとは?ヤクルト-阪神6回戦ー2022年4月24日
はじめに
プロ野球2022年シーズン、今日はセリーグの2022年4月24日ヤクルト-阪神6回戦について考察したい。この試合で解説を務めていた古田氏が初回の2本のホームランについて、1本目のホームランは投手の投げミス、2本目のホームランは配球ミス、という指摘をしたことが話題となった。今日はその点について考察していきたい。
試合内容
2022年4月24日ヤクルト-阪神6回戦は、神宮球場で行われた。ヤクルトは金久保投手、阪神はガンケル投手の先発で始まり、初回佐藤輝明選手の2ランホームランで阪神が先制する。さらに中野選手が2ランホームランを打ち、初回に阪神が4点を先制となる。阪神はその後も効果的に追加点を奪い、終わってみれば11-3で阪神の勝利となった。この試合、初回の4点でほぼ勝負が決まったといっても過言ではない試合だった。
今日取り上げたいポイント
初回の2本のホームランについて、今日は取り上げたい。
1本目:佐藤選手の先制の2ランホームラン
2本目:中野選手の追加点となる2ランホームラン
いずれも初回のホームランであるが、古田氏は下記のように指摘している。
1本目:佐藤選手の先制の2ランホームラン・・・投手の投げミス
2本目:中野選手の追加点となる2ランホームラン・・・捕手の配球ミス
この差はどこで生まれたのだろうか?今日はここを考察していきたい。
配球の考察の前提
配球のことについて話をすると選手を批判していると捉えられかねないことは重々承知している。そして、私はヤクルトファンで古賀捕手に期待しているし、応援している選手である。当然ホームランを打った佐藤輝明・中野選手も素晴らしいし、阪神というチームも大好きである。
そして配球に100点はない。その中で私なりに最善の配球だったのか、策だったのかを考察しているものであり、この1回の配球によって他の素晴らしいプレーが消えるものではない。私のような素人の配球論として、各選手にリスペクトの気持ちを持ちながら書いていることをご理解いただきたい。
佐藤輝明選手への配球
佐藤輝明選手に対しての配球はどのようなものだったかを振り返りたい。
1球目:ストレート - ホームラン
なぜ、配球ミスではなく、投手の投げミスになるのだろうか?
古田氏が「投げミス」と指摘したのは、下記が理由である。
佐藤輝明選手は、インコース高めのストレートを苦手としており、基本的にはインコース高めのストレート、外の落ちる球を基本として打ち取るパターンが多い。その中で、古賀捕手はインコースを構えており、それが甘く真ん中寄りに来たためにホームランを打たれた。佐藤選手もインコースを攻められることが多く、当然そこに意識がある中で、甘くなってしまったので投手の「投げミス」と考えられる。
中野選手への配球
中野選手に対しての配球はどのようなものだったかを振り返りたい。
1球目:スライダー 129キロ - ボール
2球目:シンカー 135キロ - ボール
3球目:ストレート 142キロ - ファール
4球目:スライダー 130キロ - ホームラン
なぜ、中野選手のホームランは配球ミスとなるのだろうか?
佐藤選手のホームランは投手の投げミスであった。しかし中野選手へのホームランは配球ミスとなった。この違いはなんだろうか?
結論からいうと私もこれは配球ミスであると考えている。
理由は2点である。
1点目:中野選手は3球目のストレートのファールが振り遅れであった。
2点目:中野選手はそもそもインコースに強いバッターである。
この2点で中野選手にインコースのスライダーを要求したことは誤りである。
1点目:中野選手は3球目のストレートのファールが振り遅れであった。
これがなぜ配球ミスに繋がったかお分かりだろうか?
3球目は、1アウト1塁、ノーストライク2ボールという状況であった。通常のこの場面であれば打者は1,2塁間に打球を打ちダブルプレーは避けたい、ランナーを進塁させたいという意識が働く。その中でノーストライク2ボールというストレートが確率が高い状況で振り遅れたのである。つまり中野選手は変化球が来る意識が強かったことがわかる。
問題はこの振り遅れたファールを古賀捕手はほぼ見ていないのである。どこにファールが飛んだかというのは打者の状況を確認する上で必須である。にも関わらずほぼ見ることなく、次のボールのサインを出している。
配球ミス以前に何も考えていないか、配球を考えようとすらしてないのではないかと思えてしまったのである。
2点目:中野選手はそもそもインコースに強いバッターである。
中野選手は昨年のデータでも今年のデータでもインコース打ちがうまく、アウトコースの方が打率が下がる傾向にある打者である。
下記は2022年中野選手が右投手と対戦した際のデータである。
インコースは全て3割以上の成績を残しているバッターである。つまり、中野選手にインコースを攻めるのは気をつけなければならないのである。
結論
結果的に変化球待ちの打者に得意のコースに変化球を投げたため、ホームランになったということから、古田氏は「配球ミス」と指摘したのだ。私も上で説明した2点をもとに配球ミスであると思う。アウトコースにストレートを続けてもいい場面であった。(結果的に打たれたか打たれてないかは検証できないが、確率が低いと理論上判断できる。)
古田氏のいう投球ミスは捕手のサインに間違いはないが投手が投げミスした場合、配球ミスは捕手のサインが原因で投手がその通り投げたのに打たれた場合で防げたものであるという意図で指摘したのだ。
今回の投球ミスと配球ミスという観点での配球分析で、その違いが皆様に少しでも伝われば幸いです。