打撃向上のための分析着眼点
今回は、打撃データは色々出てくるもののどのように数値の関連性があるのかイメージしにくい方に向けて、目標設定につながる数値の関連性について紹介します。
今回紹介するデータは4種類です。それらの定義をまず理解していただいてから、数値の関連性について解説します。
4種類のBLASTで算出されるデータの定義
1.バットスピード(km/h)
BLASTでは13項目のデータが算出されますが、一番多く使われるのはバットスピードだと思います。
BLASTで算出されるバットスピードはアプリで入力していただいたバットの長さのデータを用いて、バットのヘッドから15cmの位置の速度を示しております。
おそらく他の機器を用いてスイング測定をしている方はBLASTで測定した時に遅いと思われる方が多いと思いますが、その理由は測定位置の違いにあります。概ね10~20㎞/h遅くバットスピードが算出される声が非常に多いです。高校生のバットスピードの平均値は95km/hになります。
もし、重いトップバランスのバットでバットスピードが速ければ、長打になる可能性も上がるので、自分がどのような打球を打ちたいのかを考えながら、適切なバットを使用してもらえればと思います。
2.アッパースイング度(°)
バットの軌道を算出したデータです。0度が地面と平行にスイングしているレベルスイングです。アッパースイング度がプラスの数値であればアッパースイングになり、マイナスの数値であればダウンスイングを示しております。
基本的に投球されたボールは落下してくるので、アッパースイングが0度より大きくなることが打球速度を高めるために大事になります。例えば、硬式球の140キロ程度のボールは10度くらい落下してくるため、10度前後のアッパースイングが打球速度が大きくなることがわかっています。
3.インパクトまでのスイング時間(S)
スイングの開始からインパクトまでの時間を計測したデータです。スイング時間が短いということはコンパクトなスイングができており、ボールを長く見れるというメリットにつながります。一方、長距離打者の中にはバットを大きく回して、スイング時間を長く取り、スイングスピードを大きくしている場合もありますので、スイング時間を短くしすぎて、スイングスピードが遅くなり、打球が飛ばなくなる、ということは避けた方が良いこともあります。
高校生であれば、0.17秒より短い値はコンパクトなスイングであるということを認識してもらえたらと思います。
また、スイング開始は3Dスイング上でのみ確認できます。数値部分は非公開になっております。
4.体の回転によるバットの加速の大きさ(G)
バットを構えた位置からバットが降りてきて、水平方向にバットが回転していくタイミングで、バットがどの程度加速したかを計測したデータです。この数値が高い選手は、上半身と下半身が上手く連動してバットに力が伝わっている傾向です。そして、この数値が上がれば上がるほど、バットスピードが高くなり、バットスピードの最高値に早く到達する傾向です。
BLASTの数値の関連性を理解し、目標設定を明確させる
1.バットスピードとアッパースイング度の関連性
バットスピードが平均的な95㎞/hで、アッパースイング度が平均よりも大きい20度だとどういう打球になるでしょうか?恐らく平凡なフライになるでしょう。これはバットスピードとアッパースイング度が打球の傾向に大きく寄与していることが原因として挙げられます。
長打、単打ともに鋭い打球を打つためには、まずバットスピードを速くする必要があります。さらにアッパースイング度の値も打球傾向に大きく寄与しています。長打を打つためには、10度付近を維持して打つことが重要となり、鋭く単打を打つためには5〜10度を維持して打つことが必要となります。
このようにまずは、バットスピードを向上させるため、筋力トレーニングを行いながらも、プラスαでアッパースイング度にも注目して見るとより深い分析が行えます。まずは自分が打ちたい打球傾向を踏まえて分析してみてください。
図のような選手のデータと行動の目標設定は、下記2パターンあると思います。
①長打を多く打つために、アッパースイング度を維持してバットスピードをさらに向上させるために筋力トレーニングを積み重ねる。
②単打を増やすために、アッパースイング度を5度になるように、鏡の前での素振りやスタンドティーでBLASTを使って数値と感覚を照らし合わせる。
上記のように分析が深くなることで目標設定が変化すると思います!
バットスピードとアッパースイング度を振り返ってみてください。
2.スイング時間とバットの加速の大きさの関連性
社会人日本代表候補の44名のデータを分析すると、バットの加速が大きい選手ほどスイング時間が短いという傾向がわかりました。
つまり、体の回転を使ってバットを加速できるかどうかが、長くボールを見れるかどうかに関係しています。体の回転よりも腕を先行させてバットをスイングすると体の回転を活かしきれずバットの加速が大きくならない結果になると予想されます。
スイング時間を短くするには体の回転を速くすることが必要です。そのために柔軟性や筋力トレーニングを再考してみてください。練習方法はこの動画を参考にしてください。
定義資料ダウンロード
前半のデータの定義の解説含めて、資料はこちらからダウンロードできます。
動画による定義の解説
動画による解説はこちらから確認できます。音声は英語ですが、字幕入りになっております。