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「ネットショップが営業マンに ー ファクトリーブランドの新たな可能性」(株式会社笏本縫製)
株式会社笏本縫製は1968年の創業以来、ネクタイに限らず、さまざまなアパレル製品の縫製をおこなってきた縫製会社。2006年からは有名ブランドのネクタイの縫製を主としたビジネスに舵を切りましたが、そんな中で2015年にオリジナルネクタイブランド「SHAKUNONE'」を立ち上げました。
オリジナルブランドを立ち上げた背景にあったのは、「作り手である自分たちに、ユーザーの声が聞こえてこない状況を変えたい」という想いからだったそうです。
同社がネットショップ作成サービス「BASE」を使っていかにしてこの課題を解決していったのか、株式会社笏本縫製の「専務取締役」であり「SHAKUNONE'プロダクトマネージャー」でもある笏本達宏さんにお話をうかがいました。
オンライン販売に至った経緯
——創業~オリジナルブランドの立ち上げまでの道のりを教えていただけますか?
笏本さん:創業当時はじつはネクタイの縫製をやっていなかったんです。カットソーの縫製の下請けが主な仕事でした。その後、ネクタイの縫製を主事業に変えましたが、はじめて10年はずっと大手ブランドの縫製の下請けをしていました。
大手のブランドなので、テレビやメディアにたびたび登場し、量もすごく売れていると思うのですが、購入されたお客様は私たちが作った事実は当然知らないですよね。それがすごく悲しいなと思って。だったら自分たちでオリジナルブランドを作ろう!ということになりました。「このネクタイを作った私たちは、ここにいるんだ!」という宣言をしたかったんです。
——なるほど。アイデンティティをきちんと世の中に示したかったと。
笏本さん:はい、そうですね。その後、自分たちの存在をわかってもらうにはやはり発信を強化しないとダメだなと思って、SNSをはじめました。その後、オンラインショップを立ち上げました。
——オンライン販売前、社内でどういった課題がありましたか?
笏本さん:一番の課題は「営業」と「販路開拓」ですね。弊社の営業メンバーは私しかいないので、自分ひとりのリソースで開拓できる範囲や営業手法は、当然限られてきます。また、常設店舗もなく、当時はほとんど催事出店もしていなかったので、「ここに行けば買える」という固定した場所が存在しなかったんです。
なぜ販売ツールとしてBASEをお選びいただいたのか?
——BASEはどうやって知ったのでしょうか?
笏本さん:最初に知ったネットショップ作成サービスはBASEではなかったのですが、いろいろな機能が付いていて、安価なコストでネットショップが運営できる時代になったことをそのときに知りました。
BASEは機能のほとんどが無料で、イニシャルもランニングコストもかからないと書いてあったのでびっくりしました(笑)。
——大手のショッピングモールに出店することなどは想定していなかったですか?
笏本さん:もちろん検討したのですが、モール系のサービスはとにかくイニシャルもランニングコストも高いので、すぐ検討から外しました。EC-CUBEでのフルスクラッチ制作についても薦められましたが、当時は資金もなかったですし、何より運営ノウハウがなかったので続けられるかどうかもわからず。とにかく費用がかからないサービスを中心に検討しました。
——その中で、最終的にBASEに決めた理由はどこにありましたか?
笏本さん:「ノーリスク」だったことと、「とにかく管理画面や商品登録フローがわかりやすかった」ことですね。
他のネットショップ作成サービスも、費用が掛からない範囲でいろいろ試したのですが、個人的には機能やボタンなどの無駄がすごく多いと感じました。商品ひとつ、発送ひとつするのにも、すごくストレスがかかるんです。BASEはとてもシンプルで、無駄がなく、続けていけそうな実感が湧いたんですよね。
販売開始前の目標設定について
——具体的な目標設定や、ノルマなどはありましたか?
笏本さん:目標は「ネットショップで1日1点販売する」だったのですが、これはいまだに達成していません(笑)。そもそも、はじめてから1年半はまったく売れなくて、その間にたくさんの試行錯誤を繰り返しました。
クラウドファンディングにも挑戦したのですが、ここで172万円の調達に成功し、このころからネットショップで売れゆきが大きく伸び始めましたね。
——なるほど……1年半粘った結果がきちんと花開きましたね! ネットショップ特有の動きや発見はありましたか?
笏本さん:ネクタイの需要が高まるシーズンは、卒業や就職と合致するので、1~3月なんです。とくに3月ですね。サマーシーズンの動きが鈍いのは、やはりネットショップも同じだということは実感しました。
また、ハイシーズンの1~3月は、ネットショップよりも実店舗のほうが動きがよいことがわかりました。特に3月は、転勤などが急に決まることも多いようで、好みのネクタイを見つけて、手に入れるまでのタイムラグがない実店舗のほうでみなさん買われるようです。
ですので、ネットショップでは実店舗と少しズレて、4月にたくさん売れるんですよ。
——オンラインとオフラインの人の心理や購買行動が如実に表れていて面白いですね。
笏本さん:そうですね。先ほども申し上げたように、私は今までネットショップというものをやったことがなかったので、「ネットショップ上で売買を完結させた経験ができたこと」がじつは一番大きな資産になったなと思っています。1回目に売れたとき、今までやってきたことが「自信」に。2回目に売れたとき、それが「確信」に変わりました。
また、私はブランドサイトとネットショップに記載することを明確に分けていて、「コンセプトをブランドサイトに、商品の詳細情報をBASEに」という形にしています。コンセプトに共感した方がネットショップを見に行き、そこに並んだ各ネクタイの情報を見て購入いただく、という導線ですね。これも、試行錯誤しながら見つけた私なりの答えなんです。
運営していて気づいたBASEのいいところ
——ちなみに、ショップの運営は何人でやられているのでしょうか?
笏本さん:全部自分一人でやっています(笑)。催事に出店しているときは、管理画面上での発送処理は私がおこない、会社にいる従業員に、ご注文いただいた商品や発送先などを連絡して、梱包と発送をお願いしています。
——BASEを利用してみてよかった点(活用できた機能など)はありましたか?
笏本さん:何度も申し上げますが、「(無料なのに)使いやすい」に尽きますね。催事中でも、パソコンをいちいち開けずに、注文内容確認~発送処理までスマホひとつでできますので、とても便利です。
また、弊社では紙製の商品カタログというものを作っていません。ネットショップに全商品の写真・商品詳細を掲載しているので、ネットショップがそのまま商品カタログになるからです。「カタログとしてネットショップを使う」という点では、お金が一切かからないので、この点でもすごく重宝しています。
実際に、ネットショップに載っている商品を見て、百貨店から催事出店のお誘いをいただいたりもしているので、ネットショップが立派な営業マンになっていると思いますね。
今後のショップ展開・展望について
——今後の販売目標や展望を教えていただけますか?
笏本さん:もっともっとブランドの認知度を上げたいと思っています。運営しているうちに気付いたのですが、ふつう、人は「会社を応援しよう」という気持ちにはあまりならないと思いませんか?
品質はいったん置いといたとして、自分の知らない商品にパッと出会ったときに、とある会社(法人)が作っている製品よりも、個人が作っている製品のほうが、なんとなく共感しやすいなと感じています。
——たしかに個人の方が作っている、とくに食品って、「精魂込めて丁寧に作られている」って勝手に思い込むことは多いかも知れません。
笏本さん:そうですよね。まったく同じクオリティの商品を作ったときに、法人よりも個人のほうがきっと共感を得やすいと思うんです。私は「法人」なので、個人の方に負けない、と言いますか、ブランドのコンセプトやそれを作るに至った背景も含めて、かなり力を入れてブランディングしていかなきゃいけないなと思っています。
ちなみに、ネクタイ「も」販売している総合アパレルブランドやショップをのぞいて、「ネクタイ専門のブランドを知っていますか?」と訊くと、大多数の人が「知らない」と答えると思うんです。
——たしかに……。ネクタイ専門ブランドは1社も知りませんね……。
笏本さん:それが現実ですよね。ですので、将来的には「ネクタイ専門のブランドを知っていますか?」と訊いたら、みんなが「SHAKUNONE'」と答えるようなブランドにしていきたいなと思っています。
※笏本さんのブランディングに関する考え方は、以下のnote記事でもご覧いただけます
活用ポイント
株式会社笏本縫製様のネットショップ活用ポイントは、以下になります。
・ネットショップを「営業マン」にすることで、有限な人的リソースを効率的、かつ最大化されたこと
・コストを最小限に留めながら、仮説と実施、検証を繰り返すことでネットショップ運営ノウハウを蓄積し、ブランディングの方向性・活路を見出したこと
従業員が5名以下の小規模企業が日本の全企業数の9割弱を占めている昨今、ネット通販という領域に次なる期待を寄せる企業が多い中、「コストの最小化」と「(ネットショップ)の運営しやすさ」という点は重要視されるポイントかと思います。
BASEは初期・月額コストが無料な上に、シンプルで無駄のない管理画面で運営ができることが特徴です。ぜひみなさんもご検討してみてはいかがでしょうか?