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デザインを統一する指標はなぜ必要か

はじめに

こんにちは。Communication Design Group マネージャーの佐藤です。

BASEに限らず、デザイン組織の取り組みの一つに、ガイドラインやアイデンティティのようなデザインを統一する指標の構築・運用が挙げられると思います。ブランドやプロダクトなど表現する対象の「在り方」や「表現の方針・方法」などをドキュメントにまとめたもので、これを基に制作することで「一貫した体験の提供」や「運用効率の向上」などが期待できます。

というのが、よく見聞きする話だと思いますし、実際その通りだと思います。

しかし、ガイドラインやアイデンティティは作ってもそれ自体は直接売上になりません。しかも、制作するのはそ・れ・な・り・に大変で、時間もコストもかかります。上記の「一貫した体験の提供」や「運用効率の向上」のようなアウトプットも大切だと思いますが、どうもそれだけが理由ではない(話の解像度が低い)ように思います。

そこで今回は、BASEのコミュニケーションデザイン組織において「何のためにデザインを統一する指標が必要なのか」その考え方についてお話しようと思います。

コミュニケーションデザインの領域

まず前提として、コミュニケーションデザインの特徴の1つに「制作領域が広い」というのがあると思います。BASEのコミュニケーションデザイン領域の1つ「ネットショップ作成サービスBASE」だけを見ても、さまざまなタッチポイントがあります。
Webサイトや動画、紙媒体など、多岐にわたって制作に取り組んでいます。(BASEのコミュニケーションデザインの領域については、以下の記事をご参照ください)

デザインを統一する指標

では、この広い制作領域を担うにあたり、表現の指標がないと何が問題になるでしょうか?私は「ブランドの在り方」と「その伝え方」から、以下4つの観点でデザインの指標が必要と考えています。

1.一貫した体験の提供

例えば、デザイナーAさんは「テキストの強調を赤文字」でデザインしました。デザイナーBさんは「テキストの強調を緑の下線」でデザインしました。どちらも文字の強調はできていますが、別々の方法で表現していたり、キーカラーも別のカラーで表現してしまいました。

このように、1つのブランドの中で、同じ表現なのに2つ以上の表現方法が存在していると、読み手は意味の違いを考えてしまうかもしれませんし、こちらが伝えたいことを読み手に正しく届けるのは難しいでしょう。

例では強調文字だけでしたが、実際には「カラー」「写真」「グラフィック」「タイポグラフィ」「比較表現」など、表現にはさまざまな方法があり、その複雑な集合体としてデザインを作っています。
これら表現要素に統一した指標がないと、各クリエイティブ、強いてはタッチポイントごとのアウトプットがバラバラになってしまい、ブランドが与えたい印象や体験を正しく届けられなくなってしまいます。(例:「ここではグリーンの印象だけど、この前見た別のコンテンツでは、赤い印象だったよな?別のサービスだったのかな?」など)

こういった問題が起きないよう、正しい体験を提供するためには、デザインの指標が必要だと考えています。

2.制作コスト

先ほどの例でいうと、デザイナーAさんは「強調するためにどうすべきか?」を考え、デザイナーBさんも「強調するためにどうすべきか?」を同じように考え、2人の考える時間が重複してしまっていますね。
それにもし、過去に同じ表現が既にあったのだとしたら、それこそ2人の苦労は…涙

このようなロスが生じないように、利用頻度の高い表現を見定めて共通の表現アセットを整備することで、都度新しいデザインを考える必要がなくなり、結果、制作コストを抑えることが期待できます。(例:「強調文字は、緑の下線にしよう」など)

3.意思決定コスト

デザインに指標が必要なのは、デザイナーのような作り手だけではありません。

例えば、デザイナーがデザインしたものをディレクターなどがレビューをするとき。このとき評価指標がないと、レビュアーは個人の経験や感覚で意思決定することになってしまい、そのブランドやプロダクトにおける「正しい評価・意思決定」ができません。

上記の例でいうと、レビュアーが「強調表現って、色は赤でも緑でも強調はできてるし、どっちでも良いかな」のように、評価時に意思決定者がどちらでも良いと判断できてしまう状況は、危険信号です。気分や経験に左右されず、同じレビュー結果が期待できるような評価指標をもつことは、意思決定者にとっても重要だと考えています。

また、レビュアーが常に同じとは限りません。異動や仕事のレイヤーチェンジ、組織改変など、さまざまな要因でレビュアーが変わることがありますよね。このとき、レビュアーが変わるたびに判断基準がリセットされると、レビュアーも評価基準のインプットが大変ですし、デザイナーも困ります(例:あの人はこれで良かったのに…など)。

レビュアーの属人化防止の観点からも、まずは組織としての共通の評価基準を定めることは、制作物をレビューしたり、管理する側にとっても重要だと考えています

4.組織のスケールアップ

仮に現状の組織状態でデザインの統一ができていても、それは「今」の話です。

しかし、プロダクトが成長したり、デザイン組織がスケールアップしたりすることで、今よりもクリエイティブを使った施策が増える可能性があります。その時、制作リソースとしてメンバーが増えたり、制作ラインが外注へと広がっていったり、今は管理の目が届いていても、いずれ目が届きにくくなる可能性は十分にあります。

そういった時に、上記のような皆が同じ目線を持つためのデザインの指標を整備しておくと、多くのメンバー・リソースが同じようにデザインをし、同じような評価指標でレビューをすることが可能になり、結果、組織規模に関係なく、アプトプットの状態を一定に保つことが期待できます。

まとめ

  1. 一貫した体験の提供

  2. 制作コスト

  3. 意思決定コスト

  4. 組織のスケールアップ

以上、4つの観点から「ブランドを統一する」ために「デザインの指標が必要」と考えています。

その時に必要になるのが、みなさんがよくご存知の「ブランド(デザイン)ガイドライン」や「VI(Visual identity)」のようなドキュメントであり、作って終わりではなく、ブランドの成長に合わせて管理・運用していくことが重要だと考えています。

これからのチャレンジ

「BASE」というプロダクトの名前を、テレビCMをはじめ色々な形で知っていただく機会が増えてきた中で、あらゆるタッチポイントにおけるブランド体験をアップデートし、これまで以上にその想いや価値を伝えるためのデザインが必要になっています。

「BASEというプロダクトの価値を届けたい!」
「BASEのデザイン組織に興味がある!」

そんな想いを持った一緒に働く仲間を、BASEでは募集しています!
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