ワタシの原点「おかゆのおもい」
2017年。
当時、デイサービスの厨房に勤めて3年目のある日の日記。
ワタシが人様に、何故お食事を提供する仕事を諦めたくないのかって話。。。
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ワタシはたいがいズボラだし、何をするのもめんどくせ~が最初に出る。
たとえば家事とか。
家事とか。
家事とか(笑)。
あとねぇ。
猫好きと言いながら、どうか自分で缶詰とか開けてくんね?便所とかも掃除してくんね?とか思う。。。まぁアニキがいる時は奴が召使いとして従事してくれているがね(笑)。
そんなワタシがズボラ稼業を停止する時間がある。
仕事してる時ね。
なんだろね~。時間が勝負の仕事なんだけど、どうにかしてもっと手の込んだことが出来ないかとよく考えたりする。仕事になると「めんどくさい」とかってあんま思わないんだよなぁ。
こないだ。
昼提供を無事に終え、自分らがご飯を食べてる真っ只中だった。
介護スタッフが「すいませ~ん、おかゆ余ってませんかぁ?」とやってきた。提供時間からはだいぶ経っていたので、うちらが思うのは「職員でおかゆ食べたい人がいるのかね?」ってのが一番最初。けどその日はあいにくおかゆの余りがなかった。
「今日はもう、おかゆはないです。」
と社員が答える。
それで普通ならスタッフもそうですか~って帰るのに、ちょっと困った顔してて。
あれ?誰のためのおかゆ?
「倉田さん(仮名)がご飯の途中でおかゆ落としちゃって~。」
あら。
それは大変。
そう思った瞬間にすぐ席を立つ。
おかゆがないなら作るしかないし。
当たり前だ。
それが仕事だ。
そういう時の早さだけは、誰よりも一番な自分を褒めたいなーと思う。
おーよちよち。
倉田さんは刻み食とろみ付提供の、ちょっとお食事に難があるお客さん。何の症状なのかはわからないけど、あんまり自分で体の自由が利かないらしく、ある時車いすから転げ落ちそうになってるのを見かけたこともある。
そういう人だからこそ、食べたいものを食べて欲しいよね。簡単なことじゃん。
すぐに作っても、あっついままになっちゃうから、一回が~っと沸騰させたおかゆを別の鍋に水はって、冷ましてから持ってきましたよ。
「倉田さ~ん、お待たせしました~。」
いつもは厨房にいるから初めて声をかけましたのよ。
自分で車いすから戻れないくらいのおじいちゃんだから、意思の疎通って図れるのかな?とか思ってたのですが、予想外に笑顔を見せてくれて、
「すみませんねぇ。お手間かけまして。」
とか丁寧に、ゆっくりと言ってくださってとても嬉しく思ったし、びっくりした。
この人はちゃんと食べて、しっかりと生きているんだよなぁと。
当たり前なんだが、そういう当たり前に気付かされた。そのなんとありがたいことかねー、と。
感謝されて、それがまたこちらの感謝につながって、ありがたい仕事なわけです。
食べることは生きることです。
そのお手伝いをさせてもらってるわけだから、それをこうやって思い返させてもらって誠にありがたやありがたやだ。
忘れないようにしたいね。そういう仕事だってことを。いつまでも慣れないようにしたい。
どうぞおいしいものを召し上がれ。
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もう8年も前の日記なので、この倉田さんはこの世にはもういない。
けど、あの時の感謝されたことに対するワタシの中の感謝は、いつまでも消えないと思う。
そのおかげで、今も食に関わる人間でいたいと思わせていただいています。
感謝。