斬新な構図で描かれた作品が特徴的な、なかにし けいたさんの作品を鑑賞しました。

作者：なかにし けいた

この作品はラーメン屋さんの屋台の内側から見た構図で描かれた作品で、今まで紹介してきたラーメン屋さんの屋台が描かれたシーンの作品とは全く違った構図を取っています。お母さんの隣に描かれた女の子は興味津々に屋台の中を覗き込んでいます。この女の子の好奇心旺盛な姿やまだ幼い小さな背丈で必死に興味のある物事を見つめている姿は、実際には描かれていませんが、つま先立ちで懸命に足を踏ん張っている女の子の後ろ姿も想像させます。

この作品もとても面白い構図で左側に描かれた作品がまるで4コマ漫画のようで、一つ一つのシーンを重ねてめくっていったらまるでパラパラ漫画のように女の子と犬が動き出すのではないかと感じました。右に描かれた犬も赤いマフラーをつけてもらってとても嬉しそうです。

この作品は赤いマフラーをつけた女の子がとても嬉しそうに微笑んでいます。私がすごいと感じたのは微笑んでいる女の子の口元を少し赤いマフラーに隠して描いていることで、ただ単純に女の子が喜んでいるというのではなく、なにか得意げな、なにかこの女の子にしかわからない事情のようなものを想像させることです。また赤い襟巻きを首に細く巻くのではなく、少し大きめに太めに巻くことにより、子供特有の可愛さが表現されています。とても暖かそうです。