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紅蓮ゾルゲ回顧録 第3話 ゾルゲの拳 -墓地ソMDWゾルゲ-

 序章 【バッシュゾルゲ】への反魂術

 【ジャックゾルゲ】の構築がある程度煮詰まった後、私はさらなる紅蓮ゾルゲを産み出すための構想を練っていた。
 折しも時代はDM新章が終結に向けて動き出しており、カードプールには「裁きの紋章」や「魔導具」が投入されようとしていたのだ。
 その最中、私は前環境である革命ファイナル期に産まれたあるギミックに着目していた。
 D2フィールドだ。
 前回のジャックゾルゲにおいても、《Dの悪意 ワルスラー研究所》を使用していたが、戦術の中核というわけではない。
 今回は本格的に、D2フィールドを戦略に組み込むことを考えていた。即ち、紅蓮ゾルゲを決定的にするためのギミックとして使用するのだ。
 候補のD2フィールドは多い。
 《偽りの名 ゾルゲ》が多色であることを活かす《大革命のD ワイルド・サファリ・チャンネル》。
 6マナのタイミングで《偽りの名 ゾルゲ》を踏み倒せる《Dの機関 オール・フォー・ワン》。
 全タップを活かしてハンターにタップキルさせることで、紅蓮ゾルゲの起爆点に繋げる《Dの牢閣 メメント守神宮》。
 マナ基盤・踏み倒しと、ビッグマナ路線を行くならば外せない《Dの花道 ズンドコ晴れ舞台》。
 パワー低下を行い、如何なるクリーチャーもカレーパンの射程圏内に持ち込む《Dの地獄 ハリデルベルグ》。
 紅蓮ゾルゲとの相性という意味では、どのカードも可能性の塊だ
 だがやはり、手軽に出せてしかも紅蓮ゾルゲに直結するためのD2フィールドが欲しいところだ。
 《Dの地獄 ハリデルベルグ》を眺めた時、脳裏にあるデッキが浮かび上がった。それは、殿堂レギュレーションによって葬られた【バッシュゾルゲ】だった。
 原型となった【バッシュギヌス】には、この《Dの地獄 ハリデルベルグ》を使用するタイプが一時期存在した。《凶鬼34号 バッシュ》を破壊する際にパワー4000を相手から奪い去る上、ターン終了時に破壊された《凶鬼34号 バッシュ》を含めたクリーチャーが戻ってくる。クリーチャーの頭数を揃えたら、《復活の祈祷師ザビ・ミラ》を出し、破壊効果に《凶鬼34号 バッシュ》を巻き込みながら延々と《ヴォルグ・サンダー》を出し続ける、というコンボが成立していたのだ。
 しかし、あれよりド派手に蘇生をしてみたくはないか?
 並び立つ大量のクリーチャー、そして起爆する紅蓮ゾルゲ。ターゲットは自分の場からよりどりみどり。相手の場に依存せず、自己完結した状態で回し切る。
 そして、D2フィールドにはそれを可能とする、《Dの地獄 ハリデルベルグ》を超える回答が用意されていたのだ。
 その名は《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》。多色獣にウルトラ・セイバーを与える常在効果と、互いの全クリーチャーをデッキボトムへ送りつつ、互いの墓地のクリーチャーを呼び起こすDスイッチがある。
 私は、今はもう使用不能な【バッシュゾルゲ】の残骸を広げた。ここに《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》、そしてその戦術をサポートするパーツを投入する。眼の前に横たわる【バッシュゾルゲ】の骸が、新たな紅蓮ゾルゲの呼び水になるのだ。
 さぁ、使えるものはなんでも使ってみせようじゃないか。そう、『紅蓮ゾルゲ万能説』を唱えるため……!

第1章 基盤の設計

 デッキ構築に着手するにあたって、まず考えたのは「どうやって早期に《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》を展開するか」という一点だった。選択肢は2つ。《禁断 V フィーダス》、そして《D2M2 ドグライーター》だ。
 フィーダスはデッキから、ドグライーターは墓地からD2フィールドを展開できる。ただ、D2フィールドの張り替えが発生した場合のリスクを考えると、墓地から展開できるドグライーターの方が都合がいい。
 ただ、ドグライーターも8コスト。革命チェンジを持っているとはいえ、出すためにはさらに一工夫必要だ。
 しかし、解決札はすでに頭の中にあった。
  《"龍装"チュリス》。このカード自身は5コストだが、B・A・D2を持っているため、最速3ターン目で各種赤ドラゴンへの革命チェンジを果たすことが可能だ。基本的には《蒼き団長 ドギラゴン剣》への革命チェンジを行うのがトレンドだが、もちろんドグライーターへの革命チェンジも可能である。
 ドグライーターを出して、チェンジ元に使ったチュリスやゾルゲ、アパッチリザードなどを捨ててマッドデッドウッドを展開。次のターン、マッドデッドウッドから大量展開を行う。もちろんその時点で墓地にアパッチリザードとゾルゲがいれば勝利はほぼ確定である。
 だが、墓地に置かれるべきカードが複数枚欲しい。そのためには、積極的に墓地を肥やしに行くカードが欲しくなる。
 【バッシュゾルゲ】の時は《サイバー・チューン》や《エマージェンシー・タイフーン》、《戦略のD・H アツト》を使用していたが、今回はどうするか……。
 悩んでいた私は、ヒントを求めて環境に存在するアーキタイプを片っ端から眺めていた。すると、あるではないか。うってつけのアーキタイプが。
 【墓地ソース】。《百万超邪 クロスファイア》や《暴走龍 5000GT》などを軽いコストで召喚する条件を満たすために、大量に墓地を肥やして一気に勝負を決めに行くビートダウンデッキだ。そこに使用されているのは、《戦略のD・H アツト》や《白骨の守護者ホネンビー》、《一なる部隊 イワシン》といった高速で墓地を肥やすことに長けたクリーチャーたちだ。
 これだ。
 墓地ソースの構築をベースに、《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》と《D2M2 ドグライーター》から紅蓮ゾルゲを投下するギミックを用意する。
 墓地ソースはその性質上、墓地へクリーチャーが溜まりやすい。さらに、ドローしてから捨てる、山札から墓地においた上で回収するなど、手札の状況もコントロールが可能だ。
 何より、序盤でこうしたクリーチャーを出すことで、終盤の紅蓮ゾルゲの的も定まりやすい。バッシュゾルゲで使用したパーツがそのままスライドできるのも強みだ。いくつかパーツを入れ替えてやれば良いのだから。

 【墓地ソMDWゾルゲ】。かくも禍々しい文字列が爆誕した瞬間であった。

第2章 構築

 さて、こうして基盤・ギミックをある程度固めて、デッキ構築の指針は決まった。もちろん、最速ルートも決めてある。
 まず、今回のデッキは3つの要素で成り立つ。
 1.序盤は墓地ソースの動きで手札と墓地を整え、
 2.準備が整い次第《D2M2 ドグライーター》の効果で《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》を場に出し、
 3.次のターンのはじめに《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》のDスイッチを起動して《偽りの名 ゾルゲ》《激流アパッチ・リザード》およびなんらかのウィニークリーチャーを場に出し、紅蓮ゾルゲの動きを決める。
 流れるような工程で相手のデッキは墓地に叩き込まれる。理論上最速ターンは4ターンだ

 で、指針が決まれば後は組むだけである。まず、それぞれの要素に必要なパーツを考えてみよう。

 1.の要素に関しては、《戦略のD・H アツト》《【問2】 ノロン⤴》《白骨の守護者ホネンビー》《一なる部隊 イワシン》を組み込む。枚数は適宜調整するとして、概ねこんなところだろう。
 2.の要素は、《D2M2 ドグライーター》および《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》、そしてこれを始動するための《"龍装"チュリス》からなる。
 そして3.の要素はぶっちゃけ《偽りの名 ゾルゲ》と《激流アパッチ・リザード》さえ用意しておけばOKだ。後は次元をハンターで染めておけば良い。やる気あんのか、と読者諸氏に言われそうだがこればかりは仕方がない。事実なんだもの。
 仮にこれらを全部投入する場合、1.の要素が計16枚。2.の要素は12枚。3.の要素は計8枚となる。合計すると36枚、4枚の空きスロットがある。
 加えて、《偽りの名 ゾルゲ》や《激流アパッチ・リザード》を4投すると手札事故が起きた時に目も当てられないし、マッド・デッド・ウッドも極端な話、1枚墓地にあれば《D2M2 ドグライーター》で復活可能だ。よって、4枚投入が必須ではないカードを減じる。
 こうして計8枚の空きスペースを作り、そこにはこのデッキにおける、相手の攻撃を「受ける」パーツを入れる。
 今回使用するパーツはもう決まっていた。《終末の時計 クロック》《撃髄医 スパイナー》だ。《終末の時計 クロック》は言わずもがなだが、《撃髄医 スパイナー》はS・トリガーを持っていて、相手のクリーチャーのパワーを-3000する効果を3回使用できる。パワー9000のクリーチャーを1体止めることもできれば、パワー3000のクリーチャーを3体葬ることもできる、なかなか器用な1枚だ。
 さらに、このクリーチャーはスーパー・S・トリガーを持っている。S・トリガー能力で出た時に自分のシールドがない場合発揮できる強力な効果の総称で、《撃髄医 スパイナー》の場合は「墓地にあるコスト4以下のクリーチャーを可能な限り全て蘇生する」というものだ。これで《終末の時計 クロック》を蘇生させれば、即座にこちらにターンが返る。しかも、召喚ではない上《撃髄医 スパイナー》自体は9コストなので、《時の法皇 ミラダンテXII》のロックをすり抜けて《終末の時計 クロック》を出すことができるのだ。
 今回は方針もはっきりしていることや、使用するパーツがはっきりと見えていたことで、デッキの完成はすぐだった。パーツを入手するためにあちこち探し回る時間のほうが長かったくらいである。
 では、そのデッキレシピをご覧いただこう。

第3章 完成、墓地ソMDWゾルゲ

 【墓地ソMDWゾルゲ】。そのもの見事に【墓地ソース】【ドグライーター】【紅蓮ゾルゲ】の3つのアーキタイプが悪魔合体、もとい三位一体の力を発揮したデッキである。
 レシピはご覧のとおりだ。

『墓地ソMDWゾルゲ』
3 x 偽りの名 ゾルゲ
3 x 激流アパッチ・リザード
4 x D2M2 ドグライーター
3 x Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド
4 x 撃髄医 スパイナー
4 x 戦略のD・Hアツト
3 x 白骨の守護者 ホネンビー
4 x 【問2】ノロン⤴
4 x 一なる部隊 イワシン
4 x “龍装”チュリス
4 x 終末の時計 ザ・クロック

1 x 紅蓮の怒 鬼流院 刃/バンカラ大親分 メンチ斬ルゾウ
1 x 遊びだよ!切札一家なう!/カレーパン・マスター 切札勝太
1 x 勝利のプリンプリン/唯我独尊ガイアール・オレドラゴン
1 x 勝利のガイアール・カイザー/唯我独尊ガイアール・オレドラゴン
1 x 勝利のリュウセイ・カイザー/唯我独尊ガイアール・オレドラゴン
1 x ヴォルグ・サンダー/雷獣ヴォルグ・ティーガー
1 x ウコン・ピッピー/星龍王ガイアール・リュウセイドラゴン
1 x 時空の指令 コンボイ・トレーラー/司令官の覚醒者 コンボイ


 このデッキに呪文は一切存在しない。クリーチャーとD2フィールドのみ、すなわち《ミラクルストップ》、《ジャミング・チャフ》、《音精 ラフルル》はおろか、《偽りの王 ナンバーナイン》や《光神龍スペル・デル・フィン》といった呪文メタがほぼほぼ死に札と化す鉄壁の布陣だ。
 加えてピン差しの類もなし。我ながら実に「漢」を感じさせるリストに仕上がった。
 そんなデッキに使うスリーブなど、もうこれしかない。

 ジョインジョインゾルゲェ!!
 つまりこのデッキ、回し方を改めて説明すると、
 1.序盤は墓地ソースの動きで手札と墓地を整え(ユクゾッ)、
 2.準備が整い次第《D2M2 ドグライーター》の効果で《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》を場に出し(天を見よ……見えるはずだ、あの死兆星が!)、
 3.次のターンのはじめに《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》のDスイッチを起動して北斗有情破顔拳
 そう言えばファイナルメモリアルパックで新たにデザインが書き下ろされた《勝利のガイアール・カイザー》だが、お手元にある方はイラストをご覧いただけるだろうか。

 完全に一致(?)。
 
しかも、命、もといD2フィールドは投げ捨てるものと言わんばかりに墓地にD2フィールドをゾルゲやアパッチもろとも手札から叩き落とす上、闘勁呼法とばかりに全てを《D2M2 ドグライーター》の革命チェンジとD2フィールド展開に集約し、北斗有情断迅拳もかくやの勢いで相手のクリーチャーをデッキボトムにまとめて放り込み(もちろん有情拳なので相手の墓地からも蘇生させてあげる有情っぷりである)、そして世紀末バスケとばかりに《ヴォルグ・サンダー》をドリブルする《カレーパン・マスター切札勝太》
 この符合っぷりに、完成したデッキを見た私の脳内では「TOUGH BOY」が大音量で流れていた。というか実際に一人カラオケに特攻して歌ってきた
 時はまさに世紀末。この墓地ソとMDWとゾルゲの真っ只中で、正気でいられるなんて運がいいぜYOUとばかりに柔の拳を叩きつけるのだ。

第4章 実戦

 この構築で実戦を繰り返したところ、Vaultでは連戦連勝を繰り返し、公認大会でも余裕の勝ち越しを見せるなど、とことん強さを発揮していた。逆に事故を起こした時は潔く負けるのだが。どんなデッキもワンチャンあれば勝てるし流石のトキも事故という名の病には勝てないのである。
 では、そんな試合のうちいくつかをご覧いただこう。

──Round 1 vs5cコン

 さて、筆者が住む浜松という土地だが、どういうわけか5cの愛好家がやたらと多い。5cハイランダーに命を賭ける猛者もいるほどだ。
 この試合もそんな5c愛好家の一人との対戦である。
 試合は5c側の先攻。2ターン目までは多色マナの置き合いによりにらみ合いが続くが、こちらの3ターン目で《戦略のD・H アツト》を召喚。《一なる部隊 イワシン》を経由して《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》と《偽りの名 ゾルゲ》を落とす。ここまで見えていなかった突然のゾルゲに相手がフリーズしたのが見える。
 戸惑う相手だが、続く第4ターンに《フェアリー・ミラクル》。序盤に色を揃えていたため、マナは6まで伸びる。
 こちらは《【問2】ノロン⤴》を召喚。《"龍装"チュリス》を探しに行く。《一なる部隊 イワシン》のお蔭で無事引き当てた。すでに《D2M2 ドグライーター》と《激流アパッチ・リザード》は手中にある。そのまま手札から落とすのは《終末の時計 クロック》。これで相手がビートダウンしてきても、最後のシールドから《撃髄医 スパイナー》によって状況をひっくり返すことが可能だ。
 一方の5c側、マナが7に届くというところだがここは多色マナをおいてターンを返す。動くならここがラストチャンスだ。
 B・A・D2により3マナで《"龍装"チュリス》を出し、そのまま革命チェンジして現れる《D2M2 ドグライーター》。その効果で手札から《激流 アパッチ・リザード》を落とし、D2フィールド《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》が姿を現す。天(盤面)を見よ。見えるはずだ、あの死兆星(D2フィールド)が。このD2フィールドをなんとかしない限り、あるいは墓地利用を封じない限り、次のターンにゲームは決着する。
 相手はしばし長考していたが、やや諦めたように手遅れ気味の《ニコル・ボーラス》が場に投下される。こちらの手札は《"龍装"チュリス》のみでさしたる影響はない。こちらにターンが返り、その開始時に、大量のイワシンと《偽りの名 ゾルゲ》《激流 アパッチ・リザード》が並び立つ。5c側に《悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス》があるかを問うたところ、彼は黙って首を振りデッキを片付け始めた。

──Round 2 vs墓地ソース

 今回の相手は墓地ソース。こちらは墓地ソースの皮を被った世紀末救世主伝説である。しかしどちらも北斗(墓地利用)の流派。あちらの脅威は《暴走龍 5000GT》や《百万超邪 クロスファイア》といった高打点クリーチャーが走ってくることだろうか。とりわけ《暴走龍 5000GT》はこちらの受けが全て機能停止する必殺の1枚。ミラー対面ではどちらがこれを先に召喚するかで全てが決まるのだ。まさにラオウの剛掌波
 しかも向こうは剛の拳の使い手、序盤から小型クリーチャーのラッシュでジョイヤーしてくる可能性がある。しかし相手が序盤から殴ってくるのであれば、それを逆利用して革命チェンジの的にすることで、安全にD2フィールドを展開しフィニッシュに持っていける。とりわけ、一度こちらが《D2M2 ドグライーター》に革命チェンジして、D2フィールドを展開してしまえばこれをひっくり返すのは難しい。下手に《暴走龍 5000GT》を出すと、《D2M2 ドグライーター》が持つ「自分のD2フィールドがある状態で、自分のクリーチャーが場を離れた時、相手は自身のクリーチャーを1体選んで破壊しなければならない」効果が誘発して、5000GTが盛大に自爆する。
 まさに、「激流を制するは静水」なのだ。
 案の定、序盤から《【問2】ノロン⤴》が走ってきた。さらに《一なる部隊 イワシン》が召喚される。序盤のこちらのマナを見て、墓地ソースと判断したようだった。つまり、先んじて殴りに来るというものだ。
 一方こちらも《戦略のD・H アツト》を召喚。《偽りの名 ゾルゲ》《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》を墓地に送りこむ。
 ここで墓地ソース側は《一なる部隊 イワシン》を《プラチナ・ワルスラS》へと進化。3マナパワー6000、攻撃時に3枚ドローして1枚を墓地に落とす強烈な水のアタッカーだ。盾が大きく削られる。しかしこの盾の中に、最後のパーツ《激流アパッチ・リザード》が眠っていた。激流に身を任せることで勝利をこの手に掴む事ができたのだ。
 ターンが返り、《"龍装"チュリス》から《D2M2 ドグライーター》への革命チェンジ。攻撃対象はもちろん《プラチナ・ワルスラS》。手札から《激流アパッチ・リザード》が落とされたことで、相手は全てを悟った。これまで落としてきたクリーチャーが引きずり出され、ゾルゲの的にされる。相手は「天に還るには人の手は借りぬ」とばかりに投了を宣言する他なかったのである。

第5章 異次元の領域へ

 とまぁ、だいたいの勝ち筋は相手がまごついている隙に一瞬で勝負を決める、というものなのだが、負け筋も見えてきた。
 「墓地が肥えずにそのまま死ぬ」パターンと、「割った盾からS・トリガー付きのD2フィールドが出てきてこちらの《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》が割られる」というものだ。
 この両方を解決するデッキを作りたい。しかしこの構築はこれ以上動かせない。
 ジレンマに陥る中、世間はDM新章を経て双極編へ。呪文とクリーチャーの両面を1枚にまとめた新たなカードタイプ「ツインパクト」が登場し、デュエマはより有機的に、より複雑に進化していく。
 双極編第2弾『逆襲のギャラクシー 卍・獄・殺!!』のスポイラーが徐々に公開されていく中にあるカードを発見した。
 《龍装者オブザ08号/終焉の開闢》
 そう、このツインパクトカードこそ、最大のブレイクスルー。そして、この【墓地ソMDWゾルゲ】から派生する新たなデッキの爆誕、その足音が近づいていたのだ。
 それは、冗談のような組み合わせ。異次元の領域。
 そして、紅蓮ゾルゲ探求、フェーズ1の集大成への前触れでもあったのだった。

──To be Continued...

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