中学生の損得勘定
「私の中の音楽」No.006
時は1974年頃
私が中学生の時に買ったシングル盤のお話を
ビートルズを本格的に聴き始めて、洋楽も聴くようになった時期、ハードロックも若干聴いていました。
HR方面の深みにははまらなかったのですが、有名所をぼちぼちと聴き始めた頃、このシングル盤に出会います。
Grand Funk Railroad 「孤独の叫び」33回転シングル盤(1969年発売)
グランド・ファンク!(この時期はレイルロード付きのG.F.R.)
名前は知っていました。
憶えやすくて、インパクトがあるから。
曲も「ハート・ブレイカー」「アメリカン・バンド」ぐらいは知っていました。
ある日、地元のレコード屋さんのシングル盤コーナーで見つけたこのレコード。
見つけた瞬間に、衝撃が走りました。
一発で「これは買い!」だと。
(その頃、LPレコードは滅多に買えない高嶺の花なので、小銭があるとシングル盤をちょくちょく買っていました)
なぜ衝撃が走ったのかと言うと、ジャケットに書かれていた文句。
「画期的長時間シングル 33回転, 実に9分37秒!!」
とびっくりマークが2つもついています。
こちらも、それ相応にびっくりです。
シングル盤って大体3分前後なのに、同じ値段で3倍も聴ける!
こんなお得な話ある!?
って事で、即決!買いました。
内容も知らずに時間の長さだけで「得」と判断して買ったのです。
アル中が、味じゃなくてアルコール濃度(と値段)だけで酒を選んでしまうような感じと思っていただければ大きな違いはありません。
買ってしばらくの間は「失敗した・・・」と思っていました。
正直「つまらない」と思ったのです。
ちょっと退屈で、これを9分37秒も聴かされるのか、と。
そして、音楽を損得で考えてしまった邪な気持ちに、ほんのりと後悔すらしていました。
でも、その頃は、レコードを1枚買ったら、とにかく「聴きまくって元を取らなければ損」という損得勘定が優先する中学生だったので、何度も聴きました。
1回に付き9分37秒を。
何度も。
そんな修行なような事を繰り返していたら、ある日。
あら不思議!なんか好きになっちゃった。
「つまらない」と思っていたものが、ある日突然、いや、徐々にかな、とにかく「なんか、かっこいい」に変わりました。
それ以後、グランド・ファンクは、LPにも手を出すようになり、今でもごくごくたまにではありますが、聴きたくなるのです。
(FBに投稿した物を若干修正して掲載しました)