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ふたりの雨

 また、雨が降ってきた。

 私は彼とのおデートが大好き。だって、基本的に生活リズムが昼夜で正反対だから同棲していても会えない日が続くことがあって、週一の休みしかない彼とどこかに出かけられる?そんな、キラキラでウキウキな日は他にない。

 そんな彼とのおデートは、彼の早起きと寝不足から始まる。なんていったって、世間は、日中が中心となって動いている。だから、必然と彼が日中に合わせてもらうしかない。彼は、普段からテンションの波が穏やかで、気分の浮き沈みが周りの人に比べて少ない。そんな彼でも、おデートの朝だけはテンションが下がっているように思える。だけど、いつもの彼と比べてギャップが少ないからか、そこまで私の心は傷つかない。私は、気分屋がとっても苦手。だから、こういうときに彼の穏やかさには感謝している。

 晴れの日のおデートが少なくて、毎回雨なのに気分が下がる事もないこの状況を冷静に考えてみた。晴れ女と雨男みたいな言葉をつかう人は多いけど、人間を天気の単語と一緒に表現していることに違和感がない。『こんなにも彼といて雨が多いって、そんなことある?』私は思った。ふたりの化学反応で天気って生まれているのではないかと思う。だとしたら、私たちは今後も雨とうまく付き合っていくしかない。

雨は、通勤するいつもの道の土の匂いを運んでくれる。
雨は、自分の下向きな気持ちにそっと雰囲気を作りながら寄り添ってくれる。
雨は、どこか違う世界に行きたいと思わせてくれる。
雨は、ちょっとの寂しさをくれてお気に入りの喫茶店に導いてくれる。
雨は、彼とおデートに行っていることをみんなに証明させてくれている。

そんな雨を私は、今日も愛おしく思いながら、おデートに行ってきます。


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