四十二

辛くて42たいなんて
狡い選択チラつかせてさ
アンタ美味しいもの食べた事ないね
酸っぱすぎる梅干しや
炭火で焼いた肉みたいな魚の干物も
天気予報信じて馬鹿みたいだね
晴れなら生きて雨ならなんて

今年もやっと涼しくなるよ
すぐ寒くなって暮らし難くなるよ
魚群探知機みたいな裏技使わなくても
今感じている苦しみは変わらない
目を逸らして

悲しくて42たいなら
雨が降る前の匂いを思い出して
夜の道に過ぎる野生動物が振り返る
灰から取り出したホイルに包んだ馬鈴薯
思い出す思い出が無くても
アンタなら繊細過ぎるからわかるよ

ワサビを沢山乗せたカンパチの刺身
溶けたバターに砂糖をかけたトースト
屑のアイツはオブラート剥がして
ボンタンアメ食べてたんだって

イカの活き造りをある程度食べた後に
父は残ったゲソを天ぷらにしてくれと
今の自分なら少しの勇気が必要な注文をした
結果揚げたてのゲソ天を食べることが出来た
塩で

少しの勇気で42はしない
そんなもんの繰り返しで
流線型だった僕は
図太くスイカの様に割れそうで割れない
重く甘く赤い中身の奪う方の人になった
味わう方の人になった

お酒だってあるよ
それだけ人生の弛みはあるのに
たった一回や百回の失敗で
その顔に大きな傷がついても
喉が砂の時に穴に流し込む
氷だらけのコーラがあれば
腹が地獄に繋がる空腹に
詰まる程詰め込んだ白米を
冷たい水で流し込んでその後に
考えて

42たいのか本当に
42たいのかを

この後ハチミツをかけたホットケーキがある
全部失っても
再度手に入る