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5 金を貸して戻ってこない話
私はいま27歳だが23歳の時に起きた出来事をとても後悔している。
周りからは、お前が悪いと口を揃えて言われる。
あれは23歳になったばかりの秋、私は社会人1年目で一生懸命働いていた。
ある日、夜の10時頃に高校の時の部活の1個上の先輩から電話があった。久しぶりなこともあって不思議だったが電話に出た。
まぁ電話の内容を簡潔にまとめると「金貸してくれへん?」というものだった。お金の大切さをいまいち理解できてなかった甘ちゃんな23歳の私は当時仲の良かった先輩の頼みということもありすぐに向かった。
すると先輩K(以下K)と知らない人がいる。どうやら知り合い(以下T)らしく、話を聞いていくと、KもTに金を貸していて足りなくなったから貸してくれという要件だった。この時点でちょっと怪しかったのだが、社会に出たての甘ちゃんの私はとりあえず5万ほど渡した。その日は解散したが、しばらくするとまた5万貸してと言われるようになった。合計10万渡した。
早く返してほしかったが、
「また追加で金が無いと、金が返せない。いま金を預けてくれたら前の分もすぐ返せる。」
というような負の連鎖に言いくるめられ、しばらくその状態が続き、最終的に70万ほど渡してしまった。
結局、色々聞くがよく分からないことばかり言う。ヤクザのつながりなのか知らないが変な専門用語を並べて社会人1年目で貯めた貯金を搾取された。
お金は、もうあげるつもりで渡してこれ以上関わってはいけない。と、
今なら分かるが当時も私は分からなかった。貸せば返ってくると信じていたし、今までの貸した分絶対に返してほしいと思い、貸し続けてしまった。Kを部活動の先輩として信頼していたからである。
数万は返ってきたが、残りはいつまで待っても返ってこない。
もう連絡も取らないようにした。
高校時代に築いた信頼とはなんだったのか。同じ部活で私は先輩にいじられるのも楽しかったし仲は良かったと思う。何に使われているか分からないまま、自分で稼いだお金をドブに捨てた自分の考えの甘さに呆れた。
お金が無くなったのは勿論だが、憧れていた先輩が惨めに見えるのも本当にショックだった。
私が他人にお金を渡す日は二度とないだろう。
と思ってはいるがもし、あの人が貸してくれと頼んできたら貸すんだろうなぁ~と思い浮かべる人ような友人が数人いる。
まだまだ甘ったるい人間ですね。