15 運転卍リベンジャーズ
大学生時代、ゼミのメンバーでの旅行が2回あった。
2回生の時の大分県の温泉巡り旅行
4回生の時の北海道グルメ満腹旅行だ。
ゼミのメンバーは全員で9人程いたが、
バイトやら帰省やらで旅行メンツはどちらも5人だった。
1回目の大分県へは車で大阪から向かった。
なんと、当時私は運転免許を持っていなかった。
他の4人は免許を持っていたので夜9時くらいに出発して
交代で寝ながら向かうことになった。
気まずい。
同じ釜の飯を食うゼミメンバーとはいえど、やはり一人だけ運転しないのは気を遣う。
そこで私は運転席の人が寝ないように、助手席でずっと起きて盛り上げて続ける役を自ら買って出た。
そして、朝4時くらいに山口県あたりで爆睡した。
気づいたら大分県の1個目の温泉に到着しており、
起きたとき、みんなの顔が怖くて見れなかったことは硫黄の匂いよりも鮮明に覚えている。
私は一夜にして、運転もしないくせに助手席というおそらく車内で1番快適であろう場所を自ら獲りにいくという暴挙に出て普通に快眠しただけのモンスターと化していた。
皆は優しいからイジるだけでその場は終わったが
内心どう思っているんだ…と旅行中は気が気でならなかった。
次は絶対運転するぞとアイルトン・セナに誓い、
遂に4回生でリベンジを果たす時が来た。
卒業旅行で北海道へ行くことになり、大阪から飛行機で札幌へ。
そこからレンタカーを借りて現地を観光する予定だ。
部活動があり免許取得が遅くなりはしたが
なんとか3月の卒業旅行には間に合った。
レンタカー屋に着いて、手続きをする。
「登録の為に、運転する人は免許をご提示ください。」の一言に
私は堂々とした面持ちで免許を差し出す。
心の中で総長が叫ぶ。
今から人生始めての運転がダチ乗せて
レンタカーだけど、日和ってるヤツいる?
いねぇよなぁ!?
これは…、俺のリベンジだ!!
店員「あのー、〇〇様」←私の名前
私「はい。(男のくせにオートマですけどなにか問題でも?)」
店員「北海道で雪の時期は危険なので、免許取得後半年はレンタカー運転できない決まりなんです…」
…もう、もはや何も考えずに全力で旅行を楽しもうと心に決めた。
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