自分の頭の中は、バイアスだらけなのかもしれない
ぼくはいま、スペインのバルセロナという街にあるマンション(こちらではピソという)の一室にて、ひっそりと一人暮らしをしている。
夕方になると、マンションのどこかの一室から、ピアノの心地よい音色が聞こえてくることがよくある。
ワンフロアかツーフロア離れているのだと思う。
聞こえてくるのは、決まってどこかで聞いたことのある有名な曲。
ただ、曲名をぼくは知らない。
知っているのは、心が落ち着く曲だってことくらい。
きっと練習しているのだろう。演奏会に向けて。
その心地よい音色を聴いている間、ぼくの頭の中にあるイメージというと、常に
"小学生から中学生にかけた若い女の子"
ある時、ハッとした。
いやいや、待てよ。
弾いているのは、おじいさんかもしれない。
おばあさんかもしれない。
はたまた、筋肉隆々のごりごりマッチョなお兄さんかもしれない。
無意識のうちに勝手にイメージをしてしまっている自分がいることに気づいた。
これって、
先入観に基づいた想像
無意識の固定観念
ステレオタイプ的な連想
スキーマによる認知バイアス
だよな。
スキーマ(schema) とは、心理学や認知科学の分野で使われる概念で、過去の経験や知識をもとにした、情報を整理し理解するための心の枠組みや構造のこと。簡単に言えば、ぼくたちが持っている「思考のテンプレート」のようなもの。
まさにこれだ。
ぼくが有名なピアニストで思いつくのは、例えば、
モーツァルト
ベートーヴェン
ショパン
リスト
ブラームス
男ばっかやん、この頭の中。
それなのに、マンションの一室から聞こえてくるピアノの音を聴くと、それを奏でているのは、若い女の子になっている。
こういったバイアスって日々頭ん中を駆け巡っているのだろうな。
立ち止まって、俯瞰的に物事を考えるって難しいことだと思うけれど、できるだけ意識していきたい。
ただし、ぼくは今も思ってる。
あのピアノの音色は、きっと女の子だと。
今日も、流れてくるだろうか。
そんな、快晴の日曜日。