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7割もの人が誤って使っている言葉 【確信犯】の本当の意味

この言葉を使っている人の文脈を聞くと、「やっぱり間違って使っているなあ」と思うことがよくあります。
でも、面と向かって
「その言葉の使い方、間違ってますよ」
と指摘するのも角が立つので、ついスルーしてしまう言葉があります。

それは

「確信犯」

この言葉、誰かが使っているのを耳にすることがよくあると思います。
あなたも一度は使ったことがあるのではないでしょうか?
そして、おそらく多くの人が誤って使っている可能性があります。

実は、ぼくも以前は誤用してバンバン使っていました。でも、本来の意味を知ってからは使わなくなりました。

確信犯の本来の意味

「政治的・宗教的等の信念に基づいて自分の行為が正しいと信じてなされる行為・犯罪又はその行為を行う人」

誤って広まってしまっている意味

「悪いと知りながら意図的に行う行為」

どうでしょう?
周りにも誤って使っている人多くないですか?

本来の意味だと、例えば、以下のようなケースが典型的な「確信犯」と言えます。

  • 人種差別に反対するための抗議活動で法律に違反する行為

  • 環境保護のために企業の施設に侵入する環境活動家

  • 政治的信念から特定の政策に抗議するテロ行為

一方で、日常でよく耳にする誤った使い方の例:

  • 「彼は、僕が大事に残しておいたドーナツを食べてしまった。確信犯だね」(→「食べてはいけない」と知りながら意図的に食べた、という非難)

  • 「あの人、レジで列を無視して割り込んだよ!確信犯だね!」
    (→「順番を無視するのは悪い」と分かっていてあえて割り込んだ、という意味)

  • 「またあの人、遅刻しているわ」
    (→「遅刻はいけない」と分かっていながら、意図的に遅刻しているという意味)

これらの事例では、「わざと」「計算ずく」「意図的に」というニュアンスで「確信犯」が使われていますが、本来の意味である「信念に基づいて正しいと思い込んで行う行為」とは異なりますので誤りなんですね。

確信犯の類義語
確信犯は、思想犯や政治犯といった言葉と近い意味を持っています。

文化庁の調査結果:7割が誤って理解

文化庁が平成27年度に実施した「国語に関する世論調査」では、「確信犯」についての興味深い結果が出ています。
調査では、「どちらの意味だと思うか?」という質問に対し、約7割の人が誤った意味を正しいと思っていたとのことです。
70代以上でも5割以上が誤用を選んでいました。
さらに、年々誤った理解が広がっていることも分かっています。

調査結果のリンクはこちら: 文化庁調査結果

テレビドラマやバラエティ番組などでも誤用が広まっているため、むしろ「誤用」が一般化してしまったとも言えます。
言葉は時代とともに使われ方も変化するので、そのうち誤用が本来の意味を完全に凌駕するのかもしれません。

それでも、正しい意味を理解して、正しい言葉遣いを心掛けたいものですね。
自戒もこめて。
日々、語彙力アップに努めねば!


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