短歌 波まくら マイウェイ
<波まくら>
ふるさとの 海辺に立ちて 来し方の
波をまくらの 人生ひとつ
遥かなり 七つの海の 波まくら
男の生涯 胸に悔いなし
<二の丸橋>
船人を志してぞ 五十年前
二の丸橋を 渡りし吾は
紅顔の三つボタンの 友輩(ともがら)を
思い偲びし 二の丸橋に
(機関科十四期生 同窓会誌に掲載)
この人と 迷わず生きて 五十年
あゆみきたりて ただ 感謝のみ
<奈呉の浦>
奈呉の浦 渚に立ちて こしかたの
波を枕の 人生ひとつ
おおらかに つつむがごとく やすらぎを
賜うる神の 太刀の峰々
<道一筋>
花も咲け 嵐も吹けよ その身には
まこと背負いて 道一筋に
<色褪せず>
色褪せず 密も未だに 涸れもせず
八十路の坂に 花も咲きたり
<八十路坂>
雲一つ 浮いて流れて 八十路坂
花咲く峠 先にまだまだ
<八十路の旅>
ひとつ消え またひとつ消ゆ 朝露の
ひかりはかなき 八十路の旅は
<恩義>
こしかたの歩みきたりしわが道は
幾多の人の恩義あれこそ
<巡りし八十年>
春の花 夏蝉しぐれ 秋もみじ
冬白雪や 巡りし八十年
<人生航路>
洋々と人生航路八十五年
帰る湊はまだまだ先か
<八十路遥々>
年月は 雲の流れか 夢の間に
八十路遥々 祈りと共に
<長い道のり>
いろいろと いろいろいろとありました
八十六年長い道のり
<流れて八十路>
年月は 流れて八十路 夢のごと
余生静かに 祈りと ともに
<人生百年>
亥の年を 七度巡りて 去年 今年
人生百年何をか 成さん
©Hyosaku Horiguchi