cheerioの超個人的レビュー第1回『新田恵利:駐車禁止のワーゲン』
管理人cheerioが勝手に80年代〜90年代のアイドルを超個人的見解でレビューする記事を始めていきたいと思います。選曲や内容に偏り等があるかとは思いますが、そこは『超個人的』ということで、ご容赦ください。
というわけで、第1回目は新田恵利さんの隠れた名曲『駐車禁止のワーゲン』です。
1986年5月2日発売。デビュー曲『冬のオペラグラス』を含むファーストアルバム。
新田恵利さんは80年代後期に世間を席巻したアイドルグループ『おニャン子クラブ』の会員番号4番で実質的にグループの顔となっていました。
このアルバムが出た頃、僕はまだ小学校高学年で歌の上手い下手が分からなかった頃。だからこそ良かったのかもしれないないな、と思ったり。とにかくその歌声にインパクトがあるというかなんというか。。。当時も無条件で受け入れられていたわけではなく、歌に関しては相当言われてたみたいですね。
でも、個人的には歌の上手い下手はどうでもいいんです。響くか響かないか。新田さんは不思議と響いたんですね。何度も聴いていると中毒になってしまう歌声。センシティブなニュアンスなんて全て吹っ飛ばしてしまうほどの破壊力(褒め言葉です)。
当時小学生高学年、しかも我が家にはレコードプレーヤーがなかったため、このアルバムは同級生が買ったLPをカセットテープにダビングして何度も聴いていました。ナショナルのダブルラジカセです。
そして、その中の10曲目が『駐車禁止のワーゲン(作詞:秋元康 作曲:高橋研 編曲:山川恵津子)』です。
個人的には『風景』が見えてくるような歌詞が好きなんですが、この曲の歌詞も秀逸です。九州の片田舎の小学生が成長していって高校を出るか出ないか頃、改めてこの曲を聴いたときの何とも言えない憧れに似た切なさというか。
昭和から平成に変わった頃にティーンの文化も大幅に変わってしまい、僕がティーンエイジャーになった頃にはこの曲の風景もすでにリアリティのないものになっていました。特に都会と田舎の差というか、自分自身の青春の中では今で言う『再現性』が低い風景です。
でもそれが逆に『作品』としての価値を高めたではないか、と。
今思えば80年代アイドルの曲には青春特有の切なさややるせなさ、焦燥感、そういったものが詰まっている曲がたくさんあるように思います。
男の意地っぱりな部分やそれに伴う切なさや痛み。この曲の歌詞にはそれらが詰まっているように思えてくるのです。秋元さんの歌詞は直接的な表現と間接的な表現を取り混ぜて、特定の『風景』を見せながらも、リスナーが自由に共感できる余白が残されていると感じることが多いのですが、この曲もそういう感じです。
僕自身はワーゲンとは縁がなかったんですが、それでも憧れを含みつつ何となく共感できるような、それでいて何となく切なくなるような。不思議と湿度まで感じてみたり。
おそらく秋元さん的にはたくさんある歌詞の一つに過ぎない、さほど思い入れのある歌詞ではないのかもしれないですが。
それでも新田さんのアマアマな歌に乗ってしまえば不思議な魅力、なんとも言えない中毒性を帯びてしまうのです。
とにかく上手く伝えきれませんが、個人的にこの曲が大好きで仕方ないのです。