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cheerioの超個人的レビュー第25回『おニャン子クラブ:STAGE DOOR』
今日はやはりこのアルバムでしょうね。おニャン子クラブ5枚目、そしてラストとなるアルバム『Circle(1987年8月5日発売)』
このアルバムは2枚組となっていて、1枚目がソロ・卒業組の楽曲、2枚目が現役メンバーによる新曲となっています。個人的には2枚目の方をよく聴きましたね。
全ての曲が丁寧に作られている印象です。しかしやはり焦燥感、切なさが溢れ出しています。
個人的には『間に合うかもしれない』が最も好きなのですが、今回は敢えて『STAGE DOOR(作詞:秋元康 作・編曲:後藤次利)』について簡単に。
誤解を恐れずに言うと、短くはないけれど余計な言葉は一切ない、非常にシンプルな歌詞なのでは、と。
歌う方も聴く方も、そして作る方も、尋常ではない思い入れがある曲。逆に言うとシンプルで淡々としているからこそ、各々が自由に思い入れを持つことができる曲。
おニャン子については、やれ歌が下手だ、踊りが下手だ、素人の集まりだ、と散々言われてて、それは今でも言われ続いています。でもそれは彼女たちに原因があったわけではなく、大人が彼女たちを「そう」プロデュースしていたに過ぎないのだと思います。同時代に既に歌の上手いアイドルはいたわけで、同じ方法論で行く選択肢もあったんだけど、大人が敢えて「あの」スタンスで楽しんでいただけ。
でも実際はほとんどの曲は丁寧に作られています。本体のアルバムは名曲揃いです。
超個人的レビューなので、超個人的なことを言うと、例えば、最近流行りのオーディションで話題になっているグループの曲などは全く僕の心には響きません。見てかわいいとは思いますが、それだけ。歌やダンスの上手さが世界で通用するかどうかなんてどうでもいいです。僕の心に響くかどうか。それは僕にとっての真実です。
たった2年半だったけれども、おニャン子クラブはそれなりに社会現象にはなっていたのではないかと思います。長崎県では夕ニャンが放送されていなかったので、アイドル雑誌を読むような人のみが盛り上がっていたような気もしますが。
話が逸れましたが、今回何が言いたいかと言うと、2年半の活動のラストに「大人たち」がこの曲をおニャン子のメンバーにプレゼントしたという事実。そしてそれが歌う方も聴く方も作る方も違和感なく受け入れることが出来たという事実。それだけで素晴らしいことなんだ、ということです。
メンバーが歌いながら感情移入していくという意味で、これ以上の歌詞はありません。歌詞について、いろいろ解説したり分析したりするのは野暮です。
嵐のような2年半、その中を駆け抜けて行ったグループのメンバーは、およそ気持ちの整理がつかないで解散の日を迎えたはずです。しかし最後のコンサートでこの曲を歌うことによって、それぞれ自らが物語の主人公になり、自己完結していけたのです。
忘れないわ 今を 私たちの過ごした時を
忘れないわ 振り返れば 輝いてた日々
「また会いたいね」と 誰かが言うけれど
答えられずに 手を振って 微笑み返した
明日からは それぞれの道 歩いて行くわ
そしてこの曲を聴いていた僕たちも、おニャン子クラブという現象の終わりについてそれぞれ自己完結していったのです。
実際はコンサートでは、この曲の後に数曲あったようです。
そして『夏休みは終わらない』のと同様に、おニャン子の楽曲を愛おしく思う僕たちの日々も終わらないのですが。