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ピクニックパパの緑地めぐり アートと六本木檜町公園

実利的テーマ ピクニックvol.3


よく晴れていた。雲ひとつない快晴

さぁ今日もピクニックに出かけよう

5月の下旬、梅雨が始まる前のこの時期はピクニックのトップシーズンだ。日によっては夏並みに暑い時もあるし、反対に半袖では過ごせないような時もあるので常に着替えることを想定した装いででかけたい。


その日の娘さんは絶対に白のノースリーブのワンピースを着たいと譲らないので、黄色いカーディガンをふところ入れて出発した。

この服が汚れないポイントを選ぶのが最初のミッションとなった。

六本木が目的地ならばピクニックする場所なんかないだろうっと思われるだろう。

六本木ヒルズ側やコンチネンタルホテルがある一丁目方面には確かにない、今日は六本木ミッドタウンの裏側にある檜町公園に行く。

手ぶら行っても周辺のお店で買い出しできるし、大江戸線六本木駅から徒歩5分で行けることもあり、気軽に都会派のピクニックが楽しめるので週末は大いに賑わっている。

ミッドタウンは防衛庁跡地であることは有名な話で、20数年前まではあまり人が集まるエリアではなかったようだ。

近年国立新美術館、ミッドタウンができ、周囲も美しく整備されて都内屈指の洗練された空間に変わった。そして、こちらの素敵な公園もその時新たに作られたかの様に思うが、、、実は江戸時代は長州藩毛利氏の下屋敷があった土地。その庭後をそのまま利用して公園にしているので歴史は古い。地名の檜町も檜屋敷と呼ばれたこの下屋敷に由来する。


江戸時代の毛利氏といえば正月の「御小座敷の儀」が真っ先に浮かぶ
毛利氏は関ヶ原の戦いで西軍の総大将(実際に戦ったのは石田三成)をつとめたのに関わず戦わなかった。それは徳川家康の戦略で毛利の身内の吉川氏に「戦わなければ120万石を保証する」との密約をしてしたので、刀を振り下ろすことを止まったからだ。しかし、徳川の天下となった時結果的に90万石を召し上げられてしまった。

そして、不完全燃焼のまま兵力と国土を奪われて大大名から転落した。その自らの不覚、また徳川への恨みから毎年1月に家臣が殿に「今年は関ヶ原の恨み晴らしますか?」(徳川と戦をしますか?)っと毎度聞くというものだ。 もしかしてこの場所でもそんなやり取りがあったのかと思いを寄せながら池を眺めていた。俗説との言われるが、なんかリアル。

人の強い想いは凄まじいパワーがある。264年の恨みが倒幕に繋がる。

到着時間がまだ昼時には早かったので、ゆっくり辺りを散策しながら国立新美術館にやってきた。この美しい建物は黒川紀章氏設計によるものである。

ここ界隈の他の美術館との決定的な違いは、常設展はなく常になんらかの企画展がいくつかのスペースに分かれて行われていることである。レストラン、ライブラリー、雑貨屋、乃木坂駅直結など様々なエリアがあるので開けたパブリックスペースとして機能していて、美術鑑賞以外の目的でここにいる人も多い。
私は3階のライブラリーの横にあるハンス J ウェグナーのCH25イージーチェアが大好きでたまに腰掛けながら夕陽が沈むのを眺めにくる。


この日は19世紀末のオーストリア絵画展をやっていた。グスタフ クリムトやエゴン シーレの作品は兼ねてから好きだったので実物を見れて感銘を受けた。特にエゴンシーレのヒマワリの静止画は辺りの空気の色を変える程であった。

抽象画であるのに関わらず、本物のひまわりよりもはるかに生(同時に死)を放っている。

同名の作品でひまわりの生きる力強さ、その生の禍々しいほどの眩しさをゴッホは表現しているのに対して彼は、

枯れだしたそれを描くことによって生の儚さと輝き、それにぴたりと寄り添う死の恐怖心から生まれる美しさを表現している様に感じた。
娘が目を離した隙に脱走したので足早に会場を後にした。

娘はピザが食べたいと言うので、外苑東通りまで歩き、道沿いにあるアメリカスタイルピザのお店でテイクアウトし、私はミッドタウン内のメゾンカイザーでクロワッサンとアンティコカフェ:アルアビスでイタリアスタイルのカプチーノを買ってミッドタウンの裏口から公園に向かった。


公園内にはバスケットボールをするスペースやデザイン性の高い滑り台(遊具だと気がつくのに時間がかかった)などもあり、子供にとっても天国だ。 私は坂の上に陣をとり子供が遊んでいるのを眺めていた。

中央の池に風流な小川が流れ入る。周りには草木が生い茂ている。苔が自然にはっていたので湧き水なのだろうか?


一時間以上遊び続けて子供が寝てしまったので抱っこしながら周囲を探索した。
少し歩いた先にまた目を引く美しい建物があった。こちらは安藤忠雄氏設計による建築物。中はアートイベントスペースで、展示会の他に売り場の雑貨も面白いものが揃っていてそれを見るだけでも楽しい。娘が寝ていなかったらゆっくり見れなかったであろう。


以前妻と一緒に来たときは夏だったので小瓶のコロナビールを飲みながら過ごしたが、相棒が幼児だったのでなんとなく控えました。


娘が白いワンピースを着ていたので僕もそれに合わせた装いでデートに出かけた。

爽やかなジュンヤワタナベのストライプシャツのフロントを全て開けて、中にはジルサンダーのオーバーサイズ気味のホワイト無地Tシャツ、下半身はオーダーメイドで生地から選んでつくった浅い光沢のあるブラウンのスラックス、足元はパラブーツのミカエル、


ピクニックの格好ではないですね。
そんな汚れないピクニックでした。


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