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8.理容師のルーツ 理髪外科医とは?
理髪外科医の歴史とその役割
理髪外科医(りはつげかい)は、髪を切る理容師と外科医を兼ねた職業です。
中世ヨーロッパから18世紀にかけて、髪を切るだけでなく、歯の治療や外科手術、傷の手当ても行いました。
理髪外科医は12世紀に登場しました。修道士が教会で剃髪を行う義務を負っていたが、「殺す勿れ」という教義に従い外科的な治療を避けたため、刃物に慣れた理髪師が外科的な治療を担当するようになったのです。
16世紀には理髪外科医が医学的知識を求められ、理髪師と医師の間で権限争いがありましたが、理髪外科医は一時的に外科的治療を担当していました。
理髪外科医は多くの医療行為を行いました。髪を切る、髭を剃る、歯を抜く、戦傷を治療する、さらには手術や結石摘出なども手掛けました。
使われていた道具には、剃刀やハサミ、鉗子などがあり、専用の器具を使用して治療していました。
理髪外科医の看板
理髪外科医の店舗を示す「サインポール」には、白(包帯)、青(静脈)、赤(動脈)の色が使われており、医療と理容の両方を行っていたことを示しています。これは理髪外科医の時代の名残です。
あとは代表的な施術の「瀉血」を模した物だという説もありますね!
中世では、医師は外科手術を避け、理髪外科医が手術を担当していました。
しかし、17世紀に入ると医師と理髪外科医の役割が分かれ、医師側が外科手術を専門とするようになりました。
18世紀には理髪外科医の役割が次第に分かれ、外科医と理容業は別々の職業となりました。
これにより、理髪外科医は職業としての役目を終えました。
理髪外科医という職業は消滅しましたが、その名残は現代にも残っています。理容店のサインポールや、イギリス連邦諸国で男性外科医が「ドクター」ではなく「ミスター」と呼ばれることがその一例です。
理髪外科医は、理容と外科医療を兼ねた重要な職業でしたが、医学の進歩とともにその役割は終わり、理容業と外科医は分離されました。今もなお、彼らの名残が看板や伝統に見られることから、理髪外科医の歴史は現代に続いています。