
5.石鹸のルーツとは そんな昔からあったの!?
石鹸の起源とその歴史
石鹸は、私たちの生活に欠かせないアイテムですが、その歴史は非常に古いものです。
最初の石鹸は、紀元前3000年頃に誕生したとされています。
特に、古代ローマ時代のサポー(Sapo)という丘の神殿で石鹸が偶然に発見されたことが、石鹸の起源として有名です。
石鹸の誕生
古代ローマ時代、神殿で羊を焼いて神に捧げる儀式が行われていました。その際、羊の脂肪が火であぶられているとき、木の灰と混ざり合って、石鹸のような物質ができたのです。
この混合物が土にしみ込み、その土で洗うと汚れが落ちることが分かり、人々はその土を珍重しました。この現象が石鹸の起源と考えられています。
石鹸は、油脂をアルカリ剤で煮ることによって作られます。この場合、木灰がアルカリ剤の役目を果たしていたとされます。英語の「ソープ(soap)」という言葉も、この丘の名前から取られたとされています。
メソポタミアでも石鹸が作られていた
実は、紀元前3000年ごろ、メソポタミア(現在のイラク)でも石鹸が作られていました。シュメール人は粘土板にくさび形文字で、羊毛を洗うためや、薬として、さらには織物の漂白に石鹸を使ったことを記録しています。その作り方は、木灰に様々な油を混ぜて煮るというもので、現代の石鹸の原型です。
石鹸製造業の始まり
本格的に石鹸の製造が始まったのは、8世紀ごろのエスパニア(現在のスペイン)やイタリアです。
この頃、石鹸は家内工業として製造され、専門の石鹸職人も現れました。
初期の石鹸は、動物性脂肪と木灰を原料にした「軟石鹸」と呼ばれるもので、非常に柔らかく、少し臭いがありました。
硬い石鹸の誕生
12世紀に入ると、地中海沿岸でオリーブ油と海藻灰を使って作る硬い石鹸が工業的に製造されるようになりました。
この硬石鹸は、従来の石鹸よりも扱いやすく、臭いも少なかったため、ヨーロッパで非常に人気を集めました。
特に、フランスのマルセイユやイタリアのサボナ(サボンの語源)やベネチアなどが石鹸製造の中心地として名を馳せました。
フランスのマルセイユと石鹸の発展
17世紀には、地中海に面したフランスのマルセイユが石鹸製造の中心地となり、世界的にもその名を知られるようになりました。
「マルセイユ石鹸」という名前は、日本でも親しまれています。
この石鹸は、品質が高く、使用感が良いことから、長い間愛され続けています。
石鹸は、古代ローマやメソポタミアで偶然に発見され、時代を経て中世ヨーロッパで本格的に製造されるようになりました。