父記録 2023/6/11
曇りのち雨。
湿度が高い。昼食後、床に寝転んでイヌをお腹に乗せたら気持ちがよくてそのまま眠ってしまった。
いくらでも眠れそうだけど、気合いで立ち上がって面会に向かう。
父は目をつぶったまま、口をもぐもぐさせていた。声をかけても返事はない。
看護師さんが来てミトンを外してくれた。
「今朝は『おはよう』って言ってくださって。
村田さん!今日の夜担当の○○です、よろしくお願いします。」
父の口が「はい」と動いた。
看護師さん「声は出ないんですけど、こんなふうにお返事くださいます。」
私「お父さん、私には全然返事してくれないのになあ〜」
看護師さんと笑い合う。
痰の量は相変わらずとのこと。
口腔ケアスポンジにぶどうジュースを少しだけ染み込ませて、父の口の中を拭った。
「お父さん、またね。」と声をかけたら「はい」と父の口が動いた。
店に戻ってお客様を迎える。
溜まった仕事をひとつでも片付ける。
父の肉体は病室にいるけれど、店には父が作った作品や什器があり、写真があり、父の仕事が載った雑誌やポスターがある。
父の作品を求めて足を運ぶ人々がいる。
私や夫やスタッフは父の作品を学び、研究し、作り、組み合わせ、魅力を発見し、語り、見せ、発信する。
父の創作は続いている。
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