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けいこにっき/4

8月2日(日) オンラインレッスン

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《本日のチャンプロード》

「ひとよ」の公演パンフレット、製作中。
5月のおわり、カムカムミニキーナさんの公演パンフレットで「劇団とコロナ」というテーマの鼎談に呼んで頂いた。議題は5月の時点でのコロナ対策について。コロナ禍における劇団のあり方について。
カムカムの主宰・松村武さんと、阿佐ヶ谷スパイダースの長塚圭史さんと、八嶋智人さんと一緒に、あれこれ語り合った。
あの頃は小劇場界のカムカムミニキーナが先陣を切って劇団公演を行うということを決めた直後で、緊急事態宣言解除直前だったので、「勇気の要る決断でしたよね・・・!大変でしょうけど、参考にさせて頂きます」なんて言ってた。

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(暇すぎて谷恭輔をアプリで美女にして遊んでいた6月)

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(あんま使っちゃダメなんだってね、このアプリ)

けど、今思えばなんて私はのんきで、楽観的だったのかと思う。
苦しかった自粛生活が終わり、ようやく回復してくると思っていた頃だった。
まさか今の方が状況が悪くなるなんて。
正直思ってもみなかった。

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(すべてが良くなると信じていた6月のチラシ撮影時)

7月にはいって「劇場クラスター」などという言葉が社会に出回る事態になってしまった。演劇を観たこともなかった人たちが、私たちのよく知る劇場の名前を口にすることに、不思議な感覚がある。
そのきっかけとなった公演に批判の声も多く集まった。
これだけどの団体もナーバスに向き合っている最中だから、怒りたくなる気持ちもわかる。

でも、でも。
ほんとうにほんとうに、彼らは不注意だったのか?
それはわからないままである。
うつるかうつらないかなんて、これだけ感染者が増えているところまで来ると運じゃないかしら。とも思う。

今、私たちは文化庁が「緊急支援プロジェクト」という補助金制度を作ってくれたので、コロナ対策に使った予算を申請して助けてもらおうと考えている。申請が通れば今回の赤字は免れるかも知れない。
でもこの先もこの事態がしばらく続くのであれば、今と同じ除菌対策をどこまで続けていけるのだろうか。うちと同じ規模の劇団、あるいはもっと小さな劇団が、継続的にその予算を捻出することは難しい。
だから、仲間が仲間を責め、批判するようなことはできるだけ避けたい。
互いを監視し、締め付けを厳しくしてゆけば、演劇をやることに多大な勇気と資金が必要になり、回り回って自分たちの首を絞めてしまうから。

今は演劇人同士の連帯と、お互いの情報交換が必要だと切に思う。

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(チラシ撮影時。待機場になっていた我が家で密を気にしながら「愛の不時着」をみるの図)

そんなわけで話を戻すと、パンフレットに載せる「劇団とコロナ」第二弾、KAKUTAバージョンの鼎談を行った。これはコロナが収束するまで、継続的に互いの考えを情報交換する企画なのだ。
今回鼎談に参加して頂くのは、引き続き松村さんと、MONOの土田英紀さん。対面で行いたかったけれど、こんな時世なのでzoomで我慢した。

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今回、私は聞きたいことがあった。それは先述した「寝転がる問題」や「消え物問題」をはじめ、ここ最近の稽古に於いて目下の悩みである「演出上の制限ライン」についてだ。
松村さんと土田さんは、どこまでやるか、どう考えるかを聞いてみたかった。この鼎談をまとめてくれているライターの岡崎香さんは、たくさんたくさん舞台を見ているので、お客さん側の目線でどう感じるかのご意見も聞きたかった。さて、どんな語らいになったか。詳しくは・・・、

「ひとよ」パンフをご覧頂きたい!

いかんいかん、うっかりここに書きそうになった。パンフをご購入頂きたいのだった。
しかし、とにかく!!
この夜私は、お二人と岡崎さんの話を聞いて、とてもとても強い力をもらった。劇団で演劇をやっていく意味を改めて感じることができた。

そして、演劇への・・・、
強い気持ち、強い愛ー
心をぎゅっとつなぐ―

オザケン世代なのにろくに聴いてこなかった私のハートに、初めてこのフレーズが強烈に飛び込んできたのだった。

そしてこの対談を境に、どこまでやるかの境界線というものが、自分なりに決まったと思う。
感染防止対策はしっかりする。
除菌や殺菌もこれまで通り、時にはこれまで以上にしっかりと取り組む。
しかし演出は、「本来やりたかったこと」を、「いつものKAKUTAと同様」に、やる。
知恵とアイディアで変えられるところは検討するが、必要だと思うことをやめたり、中途半端に遠慮はしない。

そう決めた。

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この日は、現稽古場の最終日。稽古後に次の稽古場に移るためバラしが予定されていたのだけど、わけあって稽古自体が中止になった。
それでもどうしても稽古したかったので、zoomでオンライン稽古をしてみることにした。

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ばらしの前に、私は自宅から、作業する劇団員に今夜の課題を伝える。
(私は役立たずなので稽古場にはいっていない・・・)
そして夜20時から、少人数に絞ってリモートで稽古した。
役柄についてのディスカッションをしたり、違う人の台詞を読んでみたり、全然違う戯曲も読んだり。
リモートじゃ出来ることなんて限られてるかと思ったけれど、案外そうでもなくて、これはこれで可能性がある、充実した稽古だった。
何より、ひとりひとりとじっくり話せたのは久々のことで、俳優の声を聴けたのが嬉しかった。それぞれの新しい魅力を見つけたりも出来た。

稽古場は今、限られた時間しか稽古が出来ない。
稽古時間を押しても居残りしたり、稽古後にご飯を食べて語り合ったり、そんな「当たり前」がなくなってしまった。
どうせいつもと同じように出来ないのなら、新しいやり方を開発して、なんかちょっとでもいいことがあったと思いたい。
・・・まだなにかしら、コロナ禍の代償に対して「元を取りたい」という執念にも似た気持ちがあるのだった。

しかしな。これだって数ヶ月前に比べればずっと幸せだ。
だって今は、幕を開ける目標があり、生で皆に会い、稽古が出来ているんだから。

8月5日(水) 急遽おやすみ。

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新しい稽古場に移っての初稽古日だったのだけど、Covid-19において慎重になる案件あり、急遽稽古がなくなった。
念のため書いておくと、稽古場で誰かが発熱したとかではないし、劇団と直接の関係があることでもなかった。詳細は伏せるが、結果的になにも問題は無かった。なにもなくてとてもよかった。
けれどいろいろな方面で考えたとき、慎重な判断でお休み、ということもあるのだなあとまた認識を新たにする。
稽古がなくなったのは残念だけど、稽古前に免許の更新に行ったら講習会が混んでて遅刻しそうだったので、今回に関しては結果オーライと言うことで・・・。

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ぶじに。(疲れ切った顔してる)

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