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けいこにっき/8

8月18日(火) 念には念を入れよ

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いよいよ暑い。稽古場に置かれているサーモグラフ検温表に記入されるみんなの体温もどんどん上がっている。
本来ならばこの夏にオリンピックがあったのだなあと思うと、開催地としてもはや適した国ではなかったんだろうなと改めて思う。
来年もそれは変わらないだろう。

先日、アンダーで入ってくれている紗也美が稽古場へ来る前に嘔吐してダウン。疲れが溜まっているころだったし、もともと胃痛持ちだそうで、発熱、倦怠感はなし。症状からして夏バテと思われた。コロナの可能性は限りなく低いものの、それでも一応と、抗原検査とPCR検査を受けた。
無事どちらも陰性で、数日休んだもののほどなく復帰した。
やはり検査結果が出るまではドキドキして怖かったのだろう、戻ってきたら子供のように甘えていた。

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(衣装班で新たな師弟関係が生まれている様子)

若い子は感染したとしても無症状だったり軽症であることが多いから気楽でいいよね。なんていうのは間違いだ。
自分に症状がないからこそ、知らずに感染し、周りへうつす媒介になっているんじゃないかとプレッシャーも強いはずだった。

誰も悪くない。
罹患した人は責められるべき存在では無く、守られるべき存在だ。
おかしな誤解をしないように、念じるように繰り返す。

そんななか、「クラスターフェス」という恐ろしくふざけた集会が都心で行われているとSNSで知る。ノーマスクの人たちが大挙して中心街に集まり、「三密/ソーシャルディスタンス/マスク必要なし」などと書かれたプラカードを嬉々として掲げている写真。乳児を抱いて参加している人もいた。
めまいがする。でも、このめまいは暑さのせいじゃ決してないの。

未だに自主的に活動を自粛している人も、気をつけながらなんとか経済を回そうと仕事する人たちもいる。
そんななかで、この人たちは一体、誰のためにこんなことを行うのだろうか。情報が何も入ってこないのだろうか。同じくクラスターフェスみたいなことを行った別の国の参加者が罹患して亡くなったことや、米国ではトランプ支持者がマスクをしたがらず感染を拡大させているなどの情報も、まったく入ってこないのだろうか。
彼らは飲食店や、劇場やカラオケ、すべての娯楽施設、スポーツ大会、そして職場、今彼らがいる町そのものが封鎖されて誰もどこにも行けなくなる未来を、高齢の両親や祖父母に逢えない未来を望んでいるのだろうか。

間違った認識が蔓延していること以上に、想像力の欠如が恐ろしい。
そして、他者への無関心が恐ろしい。

8月19日(水) えりさんのいるうちに

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いよいよ日記を書く時間が無くなってきた。
ので、起きたことをどんどん書いていく。

返し稽古。えりさんがまた「消えなさい、ローラ」のためにしばし稽古がお休みになるので、えりさんのいるシーンを重点的に。
消えなさい、ローラ。
いかないで、えりさん。

稽古の後はzoomで劇団ミーティング。
決めなきゃいけないことあれこれ。
皆疲れてるので、なるべく短時間に収めようと努力する。

8月20日(木) 開場中のお楽しみ・・・?

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コロナ禍における今、劇場ではお客様に、会話をお控えくださいとアナウンスしなくてはならない。
あえて劇場でお喋りしたいわけではないだろうけれど、シーンとした会場で開演を待つのは少し息が詰まるだろうなあと想像した。そこで、開演前の待ち時間にちょっとしたお楽しみを作れないかと、考えた。もちろん静かに待つのが好きな方もいるだろうから、お邪魔しない程度に…。

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今日は稽古後にそのリハーサル。活躍するのは主に今回、裏周りを担当している若手の面々。用意した台本を渡し、その場で読んでもらう。
皆いきいきしていて愉しかった。一通り読み終えたあと、健康が「台詞いうのたのしい~」と言うので、笑いながら少し胸がきゅっとした。

8月22日(土) 遅ればせながら失礼します

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(これ見よがしに消毒を手伝っている風のわたし。珍しいから写真に撮られただけ)

ここ数日、やっと私も立ち稽古に参加している。
これまではずっと代役のふたり(さやみと矢田未来)に演じてもらい、私がふたりに演出をつけていく形を取っていたから、気をぬくと自分が入ることを忘れて稽古をしてしまう。二人がめきめき良くなっていくので、それはそれで楽しんでしまったりもして。

かなりできあがっているみんなの中に遅れていきなり入るのは、いつも、とても、ものすごく、勇気が要る。
この瞬間の緊張を味わいたくなくて、演出だけしてりゃ良いんじゃないか・・・?とさえ思う。
そして、最初から入っていたかったなあ、などと叶わぬ思いに勝手に寂しくなりもする。(なんかもっと良いやり方あるんじゃないかと永遠に探してもいる)

けど、KAKUTAをやっていく以上、自分が役者であることもやめないと、いつだったか決めた。
ほんとうに、お前はいらん、と思われるまではやる。
けど、やるからにはこの緊張や孤独から逃げずに向き合わなくちゃだ。

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いつも喫煙所の近くにいる野良猫たち。
君たちは緊張にも孤独にも強そうで格好いいねえ。

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(ご飯中は壁を向いてお喋り禁止。なのにマスクをしている人がつい食事中の人に話しかけてしまって困らせる情景をよく目にします)

8月23日(日) MURATANIさんいらっしゃい

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7年ほど前のある夏。
KAKUTA主催のバーベキューに突然現れた歌謡いのおじさん。

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(初登場で挨拶するその人。そこには久保貫太郎もいた)

頼んでもないのに一晩中そこにいて、頼んでもないのに人狼ゲームもして、頼んでもないのに歌詞カードまで配って「サライ」を歌い出したMURATANIという歌手のことを、KAKUTAがちゃんと言及したことは一度も無い。

(納涼感あふるるサライ2012)

しかし、KAKUTAの公演が始まるたび、先行予約の告知では必ず登場するその人を、そろそろKAKUTAが公式に迎えるべきなんじゃないかと思っていた矢先、公演期間中に行う予定のある企画のために、稽古場にお迎えすることになった。
KAKUTA初の稽古場生配信。司会進行をお願いしたのだった。

が。

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電波状況がおそろしく悪く、開始時間になっても繋がらないという事態に。
前述したとおり、稽古場は現場にいられないキャストやスタッフのために毎日稽古場のライブ配信を行っているのだが、今日のこの時間に限って電波が極悪。しかたなしに団長のポケットWi-Fiを借りてなんとか配信できたものの、画面は00年代の画素かっていうくらいガッサガサだった。

しかしそれ以上に使い物にならなかったのは、

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MURATANIさんだった。

電波状況の悪化という非常時に於いてキャラ作りなどもすっかり忘れてしまったらしい。(もしくは初めからそんなもの無かったのか)
鼻のテープがとれただけでトークもふわふわしてしまって客演陣にインタビューしてもさっぱり聞いておらず、7年前に初めてやってきたときは関西人だといいはっていたのに、この日は「そとむきですから」というよくわからない理由で標準語を通していた。
歌いたいと自ら歌詞を書いたという歌も結局歌えずじまい。

ほんとうにしっかりしてほしい。
キャラものなんだからキャラを守ってほしい。

しかし、MURATANIさんはナビゲーターとして最低だったが、もうなんだか画素の低さも相まって一周回って個人的には面白かった。進行のイギタがいちいち怒っているのがよかった。

とにかく、次こそはほんとうにしっかりしてほしい。

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ブルッ

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