【ウイスキー】スコッチ④ アイラ
ウイスキーを飲み始めると、わからない言葉が色々と出てきますよね。
その中でも外せないのが、「アイラ」という単語。
アイラのウイスキーを日頃から飲まれる方は数多くいらっしゃいますが
アイラの風土的なことって意外と知らないこともありますよね・・・
より楽しくウイスキーを嗜めるように、しっかりと解説していきます。
1. アイラのウイスキーといえば・・・
アイラのウイスキーといえば
キルダルトン3兄弟と俗に言われる
Ardbeg , Lagavulin , Laphloaig
この3つの銘柄を思い浮かべられる方が多いのではないでしょうか?
南海岸に位置するこの3つの蒸溜所の白壁は、
天気がいい時こそそれぞれの蒸溜所名を美しく映し出しますが、
天気の荒れている日には波が叩きつけられ、海藻がへばりつきます。
近くの湿原から切り出されるピートに海藻の層があり、
これを大麦麦芽を乾燥される時に焚くことで
潮やヨードの素敵な燻蒸香を纏うウイスキーができあがります。
いえ、素敵というのは人によっては語弊があるかもしれません…
その強烈な個性は
"Love or Hate"
これは私には飲めない…という人が多くいらっしゃる一方で、
ウイスキーといえばアイラ、アイラ以外は飲まないという
熱狂的なファンもいらっしゃる。そんなウイスキーを造る島ですね。
2. アイラってどんな島?
際立った個性を放つウイスキーを造る島、アイラ。
その面積はおよそ620k㎡となかなかの大きさです。
よく比較先として引合に出されるのが淡路島(590k㎡)ですが、
住んでいる人は約3,400人ほど(※淡路島は約13万人)ととても少なく、
賑わっているとは言い難いですよね…
それもそのはず、インナー ヘブリディーズ諸島に属するアイラですが、
この「ヘブリディーズ」というのはヴァイキングの言葉で、
「地の果て」を意味します。
その最南端であるこの島は、果ての果て。ハッキリ言って田舎です。
しかしながら、逆に言えばこんな田舎の島が
世界中から認知され、聖地巡礼さえ行われる。とても素敵な話ですよね。
3. 時には荒々しく、時には繊細に。
この記事の冒頭では荒々しい個性をもつウイスキーを紹介しました。
しかし、アイラのウイスキーが煙!潮!薬品香!の一辺倒かといえば…
実はそんなことはございません。
いきなりかなりマニアックな話になり恐縮ですが、
スコットランド本土のピートは、
泥炭層を切り出す都合上ミズゴケを多く含む構成です。
しかし、本土に比べ風の激しく吹き荒れる日の多いアイラでは、
上部のミズゴケ層があまり厚くならないのか、
ヤチヤナギを多く含む構成となっているようです。
このヤチヤナギという湿地に生える低木はヤマモモの仲間で、
爽やかな香りがとても愛らしいのです。
そのためなのか、
フェノール値をそこまで高く設定しない
Bowmore / Bunnahabhain / Caol Ila / Kilchoman
にはフローラルな美しい香りが共通項としてある気がします。
この華やかさは本土のウイスキーにも全く引けをとらない素敵なものです。
(あくまでも個人の感想ですのでご容赦ください。)
4. これからも目が離せないアイラでのウイスキー造り
※写真はLAGAVULIN蒸溜所周辺の美しい情景 Unsplash より取得
近年の動きとして注目すべきはやはり
Bruichladdich でしょうか。
鮮やかな空色のボトルが目を引くノンピートの Bruichladdich
ヘビーピートの Port Charlote
そして世界一ピーティーな Octomore 。
ピート遣いでこれだけ個性が変わるのかと勉強になりますよね。
また、ハンターレイン社が立ち上げた Ardnahoe や
ディアジオ社が復活させる Port Ellen の動向も気になるところですね。
島をあげて各地で特徴的なウイスキーをつくるアイラ。
これからも目が離せませんね!
5. まとめ
・アイラはスコットランド西部の島、淡路島より少し大きい
・人口3,400人ほどの田舎だが、世界一有名なウイスキーの聖地
・海流の影響を大きく受ける地域
・薬品臭なども含む強烈な個性が注目されがちだが、
ピート遣いに長けており優しい香味も引き出すことができ、
ウイスキーの複雑な楽しみを広げてくれる