【ウイスキー】スコッチ① スペイサイド
ウイスキーを飲み始めると、わからない言葉が色々と出てきますよね。
その中でもよく出てくるのが、「スペイサイド」という単語。
スペイサイドのウイスキーが大好き!って方は数多くいらっしゃいますが
スペイサイドが何であるのかは意外と説明ができないものですよね・・・
より楽しくウイスキーを嗜めるように、しっかりと解説していきます。
1. スペイサイドのウイスキーとは
スペイサイドとは簡単に言うと
「スペイ川流域のウイスキー造りが盛んな地域」
のことです。
いきなり地域の解説に入っても良いのですが
それだと退屈なのでまずはこの地域のウイスキーについて。
軽やかで華やかと形容されることの多い、
スペイサイドのウイスキー。
万人に親しみやすい香味が人気ですよね。
ザ・グレンリベットやグレンフィディックのような
どこのBarにも置いているような有名銘柄はもちろん、
ストラスミル、ベンリネス、マノッホモアのような
ブレンデッドウイスキーの中核になる
いぶし銀なモルトを造る蒸留所まで様々なものがございます。
ちなみに、この呪文のような言葉は、英語が入ってくる前の
現地語(ゲール語)です。
スペイサイドにある蒸留所のほとんどが自然に因んだゲール語です。
例えば、
グレンは谷・峡谷/ストラスは広い谷間/ベンは山/ノッホは丘を意味します。
昔から自然豊かな環境だったのですね!
2. スペイサイドとは?
では、そのスペイサイドってスコットランドのどこの事でしょうか?
え、全然わからない・・・って方、ご安心ください。
スペイサイドってどこですか?と現地の方に尋ねても、
首を傾げる方もいらっしゃいる、ウイスキー特有の区分なのです。
繰り返しになりますが、スペイサイドとは、スペイ川流域周辺のことです。
なぜこの地域がハイランドの中でも特別扱いされるかと言いますと、
スコットランドにある約150のシングルモルトを生産する蒸留所のうち、
なんと約1/3もの蒸留所がスペイサイドに位置します!
スコッチウイスキーの一大生産地ですね。
※2021年時点の情報です。
3. 密造の歴史
現存する1/3にもわたる蒸留所が集中しているなんて、
すごい!とお思いの方、驚かれるのはまだ早いです。
ウイスキーに税金がかけられる以前、
いえ、正しくはかけられてからもしばらくの間は
この土地には百や二百ではきかないほどの人が蒸留を行っていました。
はい、密造酒のメッカですね。
スコットランドって国土全体が平坦で植生に乏しいのですが、
急流のスペイ川の作り出す地形は凹凸に飛んでおり、
沢山の谷があります。
谷に隠れてこっそりとウイスキーを造れる、希少な環境ですね。
加えて、
原料となる大麦の生産地であり、
ウイスキー造りにとって最も大切な良質な水に恵まれ、
そして清涼な空気が流れ、霧深い。
ウイスキーの熟成のための条件が揃いに揃っていたわけです。
18世紀、19世紀と政府の取り締まりがキツクなるに連れ
密造酒の生産者は減少し、やがて0になりましたが、
密造酒造りの中で今のスコッチウイスキー造りのノウハウが培われ
今私たちが飲んでいる美味な一杯に繋がっています。
4. 伝統から革新へ
ウイスキー造りが古くから盛んであったスペイサイド。
そのスペイサイドにも、スコットランド全土で起こる
ウイスキーブーム起因の大改革に漏れず、
時代に合わせた変革が起こっております。
スペイサイドでは他地域のようにクラフトディスティラリーが
どんどん新規で立ち上がる流れではなく
既存の大手蒸留所が生産拡大や施設の一新を進めており、
元々おいしいウイスキーを、さらにおいしく、増産するという流れで
伝統を守りながらも最新の技術を取り入れる日々進化しております。
最近こそシングルモルトにもしっかりとスポットライトが
当たるようになりましたが、
やはりウイスキーの流行を支えてきたのはブレンデッドウイスキー。
ブレンデッドウイスキーの中核となる
軽やかで華やかなモルトウイスキー製造のため、
各社が大きな蒸留所を建設したり、生産設備を拡大しています。
例えば、
ディアジオはローズアイルという巨大蒸留所を建設〜稼働
ペルノリカールはダルメニャック蒸留所を建設〜稼働
ウィリアムグラント&サンズはグレンフィディックの蒸留釜大増設
エドリントングループはマッカランを巨大化
各社、未来をしっかりと見据えて着実に成長しており、
素晴らしいですね!
5. まとめ
・スペイサイドはハイランド地域内のスペイ川流域のこと
・自然環境に恵まれウイスキー製造に最適な地域
・かつては密造酒のメッカであり長い歴史を有する
・ウイスキーブームの影響で新興蒸留所設立や
生産設備拡張が起こっている
※地域区分に関しては諸説ございますので、
あくまでも大まかな分類の一例と捉えていただけますと幸いです。