経済法1位の論証

司法試験の論文科目としての経済法

はじめまして。この記事を参考に一人でも多くの受験生が合格してくれることを切に願います。

第一に、司法試験の選択科目で経済法を選択するのは受験戦略上とても有意義だと思います。なぜなら、暗記する事項も相対的に少なく、加えて思考過程や論述方法が刑法に酷似しているため大半の受験生がわからないながらも答案を形にすることができるためです。刑法に酷似している点として、論述方法が①行為及び適用条文を特定②主体要件を認定③行為要件を認定④効果要件(あてはめ及び正当化)の形になる点が挙げられます。この形を覚えるとあとは、条文の定義及び主要判例を押さえるだけで合格水準に持っていけます。

第二に、以下の論証が絶対ではないことを意識しながら使用してください。論証を覚えるだけでは合格できません。あくまで論証は、思考過程において何度も繰り返し使用する部分を暗記に置き換えることで、思考により多くの時間を割くための手段にすぎません。基本は思考力を伸ばすことに注力してください。ここでいう思考力は、条文選択とあてはめに如実に表れます。起案してトレーニングしてみてください(本論証には条文選択が問題となりうるもの以外はあえて条文を入れていないので、手元に六法を置いて参照してください)。加えて、経済法は条文が限定されていて、解釈が問題になることが少ないため、基本的に経済法の論証で規範を書く際に理由付けは不要です(理解しておくことはもちろん必要です)。

最後に、司法試験本番では、事実を多く拾い出し、詳細に評価し、短い文章で表現することを心がけてください。このなかでも事実を拾うというのは一番意識してください。合格答案を書くという目的において一番重要と思ってます。最後まであきらめず起案して合格をつかみ取ってください。

ただ、論証の中身がどのようなものかわからなければ購入しようがないと思うので、参考に論証の一つ(競争の実質的制限を判断する際の市場画定について)を貼ります。規範の下に、留意事項(これは答案には記載しないが知っておかないと答案を書けないもの)を記載しています。以下を参考に購入するかどうかご判断ください。


3 「一定の取引分野」(2条5項等)
◆論点:市場画定
「一定の取引分野」とは,市場をいう。市場は,①商品(役務)範囲,②地理的範囲について,主として需要代替,必要に応じて供給代替も考慮して画定される。

※ 需要代替は①商品は効用による同種性(10%の値上げをしたときに消費者が消費対象を変えるかどうかの検討)地理については輸送にかかる問題(商品の規格、関税などの取り扱いの差異)により判断される。
※ 供給代替は新規参入が多分の費用を負うことなく、短期間のうちに販売を転換しうるかで判断する。許可が必要な場合は否定的。
※ 私的独占等の場合直接的な行動制約があるため、上記の論証を経なくても競争制限の及ぶ範囲を市場と認定できる。
※ 正確な競争制限効果を認定するために、ある市場内でその市場の下にさらに市場画定が必要な場合もある。(石油入札価格協定事件)
※ クラスター市場として、生命保険や自動車保険などの代替性のない商品を保険商品として一つの商品市場として観念することも可能である。
※ 問題となっている行為・その効果との関係では、市場を、貸与・販売・転売で分けずに「供給」でくくることもある。これは、個別判断。



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