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9割以上が「青い鳥」のオチを理解していない説
「青い鳥」という話を知っていますか?
そして、どんなオチだったか覚えていますか?
ざっくりまとめて書きますと
チルチルとミチルという兄妹が、頼まれた青い鳥を探して色んな旅をするけど
最後は家に帰ってきたら青い鳥は家の中にいました、
幸せって身近にあるんですよ^^
みたいな、結末で語られることが多くて
実際に 「青い鳥 あらすじ」
などで検索するとそんな感じで説明されてることが多いのです。
ちょっと待ったー。
少しだけ待ってほしい。
もちろんそういう受け取り方をしても、悪いとは一切言うつもりはありません!
でも!少しだけ受け取り方がズレているんでは無いか?というのが
この記事の言いたいところなのです。
話の中にいきます。
もう作品ではクライマックスのところですよ。
チルチル(兄)とミチル(妹)は夢の中をさまようような旅をして家に戻ってきます。
すると隣のおばあさんが家にやってきて、体調の悪い娘のために
チルチルがもともと飼っている鳥を見せてくれないか?と言います。
チルチルの母は
「あんた、あの鳥いらないんでしょう?なんであげようとしないの?」
とチルチルにいう。
チルチルは「ああ、そうだ、あの鳥ってどこだっけ、」と言いながら見ると
やあ、ほら、あの鳥は青いよ。だけどぼくのキジバトだ。
でも、でかける前よりずっと青くなってるよ。
なんだ、これがぼくたちさんざんさがし回ってた青い鳥なんだ。
ぼくたち随分遠くまで行ったけど、青い鳥ここにいたんだな。
そう、青い鳥はもともとチルチルが飼っていたキジバトだったんです。
これを見ると鳥が青く変化しているようにも見えます。
ただこの後の会話で
チルチル「(自分のまわりをしばらく見回して)とうさん、かあさん、うちの中どうかしたの?そりゃ前と同じようだけど、でも前よりずっときれいになったね。
とうさんチル「なんだって、ずっときれいになったって?」
ここの父の発言から、家の中は特に変わってないのにチルチルが随分感激していることを不思議そうに思っています。
そして
チルチル「(窓の方へ行って)それから森をごらんなさい。
なんて大きくってきれいなんだろう。新しくなったみたいだ。
ここは随分楽しいんだねえ。
と外を見ても感動しています。それから
チルチル「ーーやあ、なにもかもきれいだなあ。うつくしいなあ。」
とも呟きます。
その後に、
チルチルの鳥を受取った、体調の悪い娘はお礼をいいに家にやってきます。
そしてこんな会話もします。
チルチル「このぐらい青ければいいの?」
娘「ええ、これでいいのよ」
チルチル「ぼくもっと青いのも見たんだよ。でもほんとに青いのはね、それこそどんなにしてもつかまらないんだよ。」
娘「かまわないわ。これとてもかわいいわ。」
そして鳥を愛でていると鳥は逃げ出してしまう。
泣き出す娘。だけどチルチルは言います。
「いいよ、泣くんじゃないよ。ぼくまたつかまえてあげるからね」と。
どうでしょうか?
鳥が青く変化したのではなくて、
色んな経験をこえてきたチルチルの目は
今までなんとも思えなかった自分の鳥のことを
「なんだ、この鳥ってこんなにキレイなんじゃねーか!」と
気づきを得たこと、それがすごく大事なんじゃ無いかと思うのです。
身近なところに幸せはある。というまとめ方は決して悪く無いと思います。
でも、
身近な幸せを感じられる目と心を持つことこそが、幸せの鍵だ、
そこがポイントだとは感じられないでしょうか。
だから鳥が逃げ出しても「またつかまえてあげるからね」と前向きな発言ができたんだと思います。
(※あ、でも本来は原文の本を読んだり、他の本と見比べることをすべきなんでしょうが
それはまたやったら加筆したり訂正したいと思います。)
↓ちなみにこれは私が撮影したキジバト。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/165942134/picture_pc_8a76fc7a2c19338355fc940f1bc850a7.png?width=1200)
しいて言えば首と尾の方はほんのり青いかなって感じ。
まあ翻訳の仕方でそうなったのかもしれないし
海外の種類は違うのかも?
発情によって変わるのかもしれない。だけどオスとメスで外見的な違いはあんまりないと書いてありました。
これをふまえてもう少し書くと
自分たちの普段の生活においてこんなことはないでしょうか?
例えば
・今まで気にしてなかった人が、ふと気になるようになった。
・今まで嫌いだった食べ物が、思わぬ体験で食べられるようになった。
・特に欲しいとも思ってなかったものが、急に欲しくなって買ってしまった。
などです。
自分がどう見るか?によって、その物への愛情や価値は変えられると思う。
むしろそこが快適に生活する上でめちゃくちゃ大事なんじゃないかと。
ま、この時点でもう書きたいことは済んだんですが
チルチルたちが旅に出る前の生活はどうだったのか、と
好きなフレーズや場面を紹介しておきましょう。
チルチルたちの生活は貧しくて、クリスマスだけど
ツリーもお菓子もないので隣の家のにぎやかな様子をのぞいては
お菓子をもらう想像をしてみたり、ぼうっとツリーを盗み見するように眺めていた。
過去には弟が3人、妹が4人いたがみんな死んでしまっている。
祖父母も亡くなっている。
そんな時にチルチルたち二人の前に妖女(魔女みたいな)が現れて
青い鳥を探して不思議な旅を始めることになる。
そこから色んな旅をして、経験をして成長し、帰って来るわけです。
それがこの記事の始まりに戻るって感じですね!
もともと子供用の劇の台本みたいな感じで本は書かれていて
だいたいがセリフなので読みやすいですし
なんとなく知ってたけど〜という方もぜひ読んでみるのも面白いのではないでしょうか。
色んなものに命があって動き回って、独特な感性と視点で描かれているので
発想力を楽しみながら最後まで行けます。
これが1908年に作られた話なんだなーと思うとそれもまた感慨深い。
ちなみに
好きな場面はいろいろありますが特にここです。
この辺のくだりがあったからこそ帰ってきたチルチルは色んなものを
キラキラした目で見られたという解説にもなっていると思います。
かなり省略しているところもありますが
「幸福」を表現したキャラクターたちと話す場面で
幸福 「みんな聞いたろう。
この人のうちにも「幸福」がいるかだってさ。
小さなおばかさん。
あなたのおうちは、戸や窓が破れるほど「幸福」でいっぱいじゃありませんか。
ぼくたちは笑ったり、歌ったりしてるんですよ。
壁がふくらみ、屋根が持ち上がるほどたくさんの喜びをこしらえてるんですよ。
でも、いくらやっても、あなたは見もしなければ、聞きもしないんですからね。
ーーもう少しおりこうさんになってくださいよ。
そろそろ、ぼくたちの中の有名なものと握手してくださいよ。
そうすれば、おうちへ帰ってからも、かんたんにぼくたちを見つけられるでしょうから。そうすれば、やがて一日のよい日の終りに、ぼくたちにほほえみかけてはげましてくれたり、やさしい言葉で感謝したりもできるようになるでしょう。
なぜってぼくたちは、あなたがやすらかな楽しい生活を送れるように、ほんとにできるかぎりのことをしてるんですから。
まず、ーーぼくはあなたに仕える「健康である幸福」です。
ぼくは一番美しいというものではないけれど、一番大事なものです。
これからはもうわたしがわかるでしょうね?
これは「清い空気の幸福」で、ほとんど透き通ってます。
それからこれが「両親を愛する幸福」です。
灰色の着物を着て、いつも少し悲しそうです。
というのは、だれもこれを見てやらないからなんですよ。
これは「青空の幸福」で、もちろん青い色の着物を着てます。
次は「森の幸福」で、これももちろんのこと緑色の着物を着てます。
窓のところへ行けば、いつでもこれは見られるでしょう。
それからこれは「昼間の幸福」で、ダイヤモンドのような色をしていますし、「春の幸福」はきらきらとしたエメラルド色をしています。」
チルチル 「きみたち、いつでもそんなにきれいなの?」
幸福 「ええ、そうなんですよ。みんなが目をあけて見さえすれば、どこのうちだって毎日日曜日みたいなものですよ。
そして、夕方になれば、ここに「夕日の幸福」がいます。
これは、この世のどの王様にもおとらず立派で、お供には大昔の神々のように金色をした「星の光り出すのを見る幸福」を連れています。
それから、お天気が悪くなれば、ここに真珠をいっぱいつけた「雨の日の幸福」がいます。
「冬の火の幸福」は、こごえた手に美しい紫色のマントを開いてやります。
ああ、それからぼくたちの中で一番すばらしいのをまだ紹介してませんけど、それはあなたがこれからお会いになる、明るい「大きな喜び」のきょうだいみたいなもので、「無邪気な考えの幸福」というのです。
それはわたしたちの中で一番朗らかなんです。
それから次は、まだまだいるんですが、
ーーだけどじっさいたくさんいますねえ。
もうよしましょう。
あっれ?なんか若干宗教っぽい怪しいアカウントになってる?
いや気のせいだよな…
私は素直に文学の表現を紹介したいだけなんだ…
おわり
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