「オススメは何ですか?」という言葉はインターネット以降の現象、あるいはそれに対応できるお店の新しさ
妻が行ってる美容院で、こんなことを言われたらしいんです。
「最近の若い人って、『オススメにしてください』って言うんです。あれ、わかんないんですよねえ
今、初めてお店で会ったばかりで、どんなファッションが好みなのか、どういう風にしたいのか、全くわからないのに、オススメって言われても困りますよね」
で、その美容師さんがそのお客様に、「どういう風なのが良いのか」っていうのを細かく聞いてみたらしいんです。
そしたらどうやら「モテる髪型にしてほしい」っていうことがわかってきたらしくて、そうは言っても「大手町でモテたいのか、裏原宿でモテたいのか、どういう人にモテたいのかが全くわからなくて困る」そうなんです。
ちなみにこの言葉、バーでもよく言われるんです。
「オススメは何ですか?」
この言葉、言ってる人は全員、そんなに深く考えずに「オススメは何かあるのかな、オススメは何ですか?」って言ってるのはこちらもわかるんです。
でも、ご存じのように、普通はバーで置いてあるお酒は全部オススメなんです。「うーん、これはちょっとオススメじゃないんですよねえ」なんてお酒は置いてないんです。
これとよく似たのに「何か美味しいのください」という言葉もあります。上の「モテる髪型」とちょっと似ているの、わかりますか?
僕はそのお客様が「何を美味しいと感じるか」っていうのはわからないんです。
例えばその方が「普段あんまりお酒を飲んでいなくて、ビールとかは苦くて嫌い」ということを教えていただければ、「何を美味しいと感じるか」というのは想像できるし、こちらから提案は出来るんです。
ある程度のそのお客様の「好みの方向性」みたいなものを教えていただけないと、その人が「美味しい!」って感じるモノはオススメできないんです。
※
これ、やっぱりインターネットのせいだと思いませんか?
インターネットくんは、「あなたが今まで何を選んできたか」という情報をたくさん持っているから、「これがオススメです」って提案してくれますよね。
でも、僕たちお店のスタッフは、「初めて会ったお客様がどういう好みなのか知らない」んです。
だから好みを伝えていただいて、「じゃあ、これなんかオススメですよ」って言えるのですが、なんか最近は突然「オススメは?」なんです。
これ、本当に、10年くらい前はなかった現象なんです。
※
でも、僕が「最近の若い人は変だ!」って吠えているのはたぶん古いんです。
というのは、最近、流行っている飲食店は、それらを全部見越して、「飲み物も食べ物も全部オススメばかりを提案するコース」っていうのを用意していますよね。
座ったら、「嫌いなもの」だけを聞いて、後は全部オススメっていうのが、今の完全な流れだと思うんです。
あるいは、本屋なんかでもとにかく「オススメ」していますよね。
もう、お客様が「オススメしてほしがっている」っていうのを見越して、先に用意して提案するのが今の流れなんだと思います。
だから「オススメお願いします」に、「ええと、あなたの好みがわからないので、突然そんなこと言われてもわかりません…」っていうこちらが古いんです。
今はお客様の好みなんて知らなくても、「うちのお店はこれがオススメ!」って迫っていく感じじゃなきゃダメなんでしょうね。
※
でもやっぱり、でもやっぱり「変」だと思うんです。
お客様の好みを聞いて、そしてこちらも色々と提案して、そして組み立てていくのが、髪型も飲食も面白いし、本屋やレコード屋もたくさんの中から「自分だけのこれ!」を探し出すのが楽しいと思うのですが、そういうの古いのでしょうか。
「知らない異性10人と出会って話す会」、男性の応募が少なくて困っています。周りに「マンガやアニメが大好き」という恋人がいない男性はいませんか? もしいましたら、「これに出たら、とりあえず10人のマンガやアニメが好きな女性と知り合えるよ」って伝えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「雨と涼しいとどちら」です。
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