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共同親権法案~問題点について

ばっぷくどん42号

教師16年、僧侶14年、SSWとして14年働きました。わたしは実践家です。

ここでお伝えすることは、私の知識と経験の範囲内のことに過ぎせん。
それでも、それぞれの仕事で、たくさんの子どもやケースに関わり、必要な知識を加えて今日に至り、可能な限り公平公正な判断をしているつもりでいます。
今回は社会問題について書いています。
あなたはどのように考えられるでしょう。

ばっぷくどん42

わたしは評論家ではありません。
専門家としての意見を披露するだけの
知識も、理論も持ち合わせていない、
現場で、もがいただけの実践しかしていません。

それでも、ひとりの社会福祉士として、
今ない社会資源は、作るように努力しなければならない、
今ある社会資源について、必要なら働きかけることもします。

今のわたしは一般市民でしかありません。
何の力も、手段もありません。
ただ、こうしてつぶやくだけです。

今回、ひとり親家庭の支援対象は
母親と子どもという前提でお話しします。
14年間、父親による養育ケースは数件、
どれも児童虐待の解消ケースで、
言及することとなる経済的課題ではなかったからです。

77年ぶりに民法などの改正により、
離婚後、共同親権を選択することが可能になるかも知れません。

2019年度の統計によると夫婦3組に1組が離婚しています。

共同親権の選択は、離婚後の子育て負担が片方の親に偏らないようにする名目があります。日本の国際的な立場という観点から考えられたことだと考えています。
もしこの推測が当たっているなら、子どもの利益、離婚せざるを得なかった母親の利益はじゅうぶんに考えられていないと思うのです。

離婚のほとんどは円満な協議による離婚でしょう。離婚後は母親が親権を持ち、子どもを養うことが多いように感じます。離婚前に公正証書を作成するなどして「養育費」などの約束があっても支払われないケースがありますが、これはすでに法律によって実行させる手続きが出来ます。でも、口約束にはそれがありません。

ばっぷくどん42号

2019年度、19万組の夫婦が離婚しています。
365日で割ると、2分おきに一組が離婚する計算になるそうです。

パレートの法則で考えると2割、
一年に38,000組は、妻にとって不都合な状況での離婚という事になります。
この数字は小さい数字でしょうか。

もしこの推測が当たっているなら、子どもの利益、離婚せざるを得なかった母親の利益はじゅうぶんに考えられていないと思うのです。

離婚のほとんどは円満な協議による離婚でしょう。
離婚後は母親が親権を持ち、子どもを養うことが多いように感じます。

離婚前に公正証書を作成するなどして「養育費」などの約束があっても支払われないケースがありますが、これはすでに法律によって実行させる手続きが出来ます。でも、口約束にはそれがありません。

ばっぷくどん42号

福祉の立場について、基本的に
自助努力では健全な社会生活が送れない状況のひとに対する支援
そのように考えています。

社会福祉士が支援する対象となる方々は、
この定義に該当しています。
生活の困窮は母親に、ダブルワークを強いることもあります。
さらにそれが、ヤングケアラーを生むこともあります。

母親ひとりでは生活を支えきれなくなり、
子どもは祖父母が養うケースもあります。

たしかに、母親の負担が大きいことへの支援は、
不十分ながらさまざまな分野からなされています。

共同親権について


父親が子育てに関わるべきという視点には賛成です。

現行の民法でも、改正によって
養育費の不払いを解消する道は開かれています。

聞くところによると
弁護士会が不払いの養育費を取り立てるための費用を負担する、
そのような心強いニュースも耳にしています。

但し書きがあります。

離婚時点で法的に有効な文書がなければ、
取り立ては実質的に不可能なのです。
そこまで知った上で離婚する人が、
どれほどおられるでしょう。

しっかりと将来を見据えた上で協議離婚できる間柄であれば、
あえて離婚する必要はないように感じます。

それでも離婚するのであれば、
ここで危惧するような状況にはならないのではないか、とも思うのです。

それでも夫からのDVや虐待よりは耐えられるでしょう。でも、共同親権になると必ず子どもを夫に会わせないといけません
「選択できる」だけで強制はありません。でも、選ぶ時に合意が必要です。話し合わないといけない。
弁護士に頼むとして、母親にその費用負担が可能でしょうか。
話し合う時、虐げられて来た母親が夫に反論できるのでしょうか。

ばっぷくどん42号

支援したケースでは、数は少ないけれど
婦人相談所、児童相談所に依頼する必要がありました。

お母さんや子どもを、夫から守る必要があったわけです。

離婚を申し入れても、相手にされないケース。
何度となく児童相談所に保護されても、虐待が続くケース。

そのような家族が、どのような状況で、
子どもの将来を考えての親権を協議できるでしょうか。

わたしは、きわめて困難だと考えています。
あくまで14年間の、わずかなケースをもとにしての考えです。

法案には、裁判所がDVや虐待が認められた時、
共同親権にはしないことが盛り込まれています。

心配なのは、そのような心理的、経済的負担は必ず、子どもたちも不安にします。子どもが成人するまで、ずっと続く可能性があるけれど、割合として小さいから法案が提出されるのかも知れません。

ばっぷくどん42号

では、すべての離婚ケースを裁判所が調査するのでしょうか。
あり得ません。

子どもの意見の尊重


選択に際して意思表明できるとして、子どもの気持ちはどうでしょうか。

離婚に賛成する子どもばかりではないはずですし、
どちらか一方の親を選ばずに済むなら、
共同親権を望むかもしれません。

だからといって、
両親の考えだけで選択して良いという理由にはならないと思います。

面会交流権


これまで以上に、
離婚後の子どもとの面会交流権は強化されるでしょう。
両親に、できるだけ等分の子育てへの関与を求める法案ですから。

離婚後、別居する夫婦がほとんどでしょうが、
面会交流を保障するため、
面会が可能な範囲に住むことが求められることになるかも知れません。

学校は、保護者の意見を求める場面を持つのですが、
共同親権となれば、
別居する両親からの意見・署名を求めなければなりません。

子どもへの教育について、両親の意見が対立したら、どうでしょう。
その調停を学校が担うのでしょうか。

困らない人のための法律。困った人はどうすれば良いのでしょう。不都合が生じてから考えるのでしょうか。

ばっぷくどん42号

SSWは、相談事案について
すでに困っている以上に悪化することを防ぐことから着手します。

その上で、状況を改善するための提案を実行して行くのです。
単純に不登校状態をなくすような活動をするわけではないのです。

しかし、SSWに権限や権力があるわけではありません。

あくまで、子どもの環境にある「資源」を活用して
環境を整備してもらえるよう、
家庭や学校、社会にはたらきかけるのが仕事です。

SSWの活動限界


SSWは、法案や条例案に関わる議員に何かを提案することはできません。
少なくともわたしは14年間、
活動について議員の質問を受けた話を聞いていません。

そして、SSWは独立した機関ではなく、
学校長の管理の下で動きます。

SSWが新しいしくみを立ち上げることはありません。
今あるしくみに働きかけ、組み合わせることはあっても。

余談ですが、SSWのほぼ全員が嘱託勤務ですから、
人事院・委員委員会の裁定とは無関係、
発足以来15年間、据え置かれたままの手当てであっても、
交渉権を行使していないと思います。

契約・再契約しなければ良いだけですから。

時給1,500円で昼夜働くSSWもいます。
時給はけして安くはありません。
しかし、
子どもたちの生涯に関わる仕事を担う人材に
支払う時給としてはどうなのでしょうか。

なかば有償ボランティア状態です。

つぶやき

サポート、ありがとうございます。もっと勉強して、少しでもお役に立てる記事を送りたいと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。