イヤな仕事を辞めてもあなたは幸せにはなれない
この仕事のストレスがなければ、この散らかった家がもっと片付いていれば、この人間関係がうまく行っていれば、私はもっと幸せになれるはずなんだ・・・そう考えて、日々のイヤな問題を解消しようと努力している人は多いのではないだろうか。かく言う私もその一人。
でもその努力、実は全然「幸せ」の方角に向かっていません。
という超衝撃の事実を教えてくれたのが、『絶対悲観主義』という本だ。
なんともポジティブ感の漂わないタイトルのこの本。しかしながら、「大丈夫、たぶんうまくいかないから(*^^*)」という、一周回ったポジティブさが感じられる本なのである。ちなみに、著者の楠木健さんは経営学の大学教授という世にもお硬い肩書なのに、軽妙な語り口で書かれていて面白い。
例えば、絶対悲観主義の真髄に触れるこの一説。
試しに、仕事のミーティングが散々な結果に終わったあとに「そうは問屋が卸さない、か……」とつぶやいてみた。しみじみとした幸福感とまではいかないものの、なんかじわじわと安堵のようなものが、確かにこみ上げてきたのでこれは使える。
今まで本好きとしていろいろな本を読んできて、その中でいろいろな人が幸せについて語っていたけども、この本が一番翌日からの自分の幸せ度を変えてくれたかもしれない。
不幸をいくら減らしても幸福にはなれない
心理学者ハーズバーグという人が、「不満足」の反対は「満足」ではなく、ただの「没満足」、つまり「満足がない」だけだ、ということを発見したそうで。つまり、「幸福になる」ということと「不幸を解消する」ということは、同じことに見えて実は全くの別物、ということらしい。
幸せになりたければ、イヤなことばかりに目を向けるのではなく、自分を幸福にしてくれることをいかにして増やすか、というのに軸足を置かないとどうしようもない。そこで、毎日の小さな幸せを、(村上春樹が言うところの「小確幸 = 小さいけれど確実な幸せ」を)、少しずつ積み上げていくことにした。
結果、確かに以前よりじんわりとした幸せを感じることが確実に多くなったし、毎日多少の嫌なことが起こったとしてもその幸せ度が変わることがなくなった。夫と子供との毎朝の散歩、仕事で作ったいい感じの資料、仕事が終わったあとのノンアルレモンサワー、子供の寝顔・・・こういうときに一旦立ち止まって「ひゃー幸せーぃ」とつぶやくと、やはり人生の充実度が上がった実感がある。
微分派と積分派
こちらもこの本を読むまで気づいていなかった、幸福の感じ方の違い。
微分派の幸福はすごく強烈だけど長続きしない。私の場合も、昇進したり年収がボンと上がったりするときに、強烈な達成感と喜びを感じるんだけど、その喜びは持って一日、いや半日しか続かないかもしれない。翌日にはもっと上の年収、もっと上のポジションが欲しくなってまたもがいている。
ついつい刺激的な微分的幸福を求めてしまうけど、自分が追い求めているものが、それって積分的な幸福なのか・・?と考えるクセをつけるといいかもしれない。迷ったら、微分ではなくて積分を選ぶ。
不幸の元凶「比較グセ」をやめる方法
やってはいけないとわかっていてもやってしまうことNo.1、それは「他人との比較」。どうやってやめるか?というヒントがこの本にあった。
例えば、同期が自分より先に昇進したのを見て、嫉妬したり焦ったりする。その時に一呼吸置いて、「じゃあこの人とまるまる入れ替わりたいかな?」と考えると、きまって答えはNOになる。だって私の人生にも手放したくない「小確幸」はあるし、逆に相手の人生にだって小さな不幸せがきっとあるだろうから。そうすると、さっきまでむくむく盛り上がっていた嫉妬心がスゥーーーーーっとどこかに消えてしまうのだ。
そして、この本の「幸せの条件」という章ではこう結論付けられている。
これには唸った。確かに、私自身日記をつけ始めてから、じわじわと毎日の幸福度が上がっていて、おそらくそれは、毎日起こる小さな幸せを言葉にして書き留めているからだと思う。小確幸を毎日毎日言葉にすることで、「自分にとっての幸福って、つまりこういうことなんだよなあ、うんうん。」という具合に、幸せが少しずつ言語化されていくのだ。
この本には幸福の条件以外にも、「健康と平和」、「お金と時間」など多岐にわたるテーマが書かれていて、「なるほどなあ」と思わず唸ってしまうようなことが沢山書いてあった。Audibleは聴き放題対象なのでタダで聞けます。
さて、皆さんが最近感じた「小さいけど確実な幸せ」はなんでしょうか?よかったらコメント欄で教えて下さい!