フィンランド映画祭アンコールで観た『コンクリート・ナイト』(2014)と『リトル・ウィング』(2017) 2020.11.15
14日からユーロスペースで始まった「フィンランド映画祭アンコール」。ことしは、コロナ禍の影響か、残念ながら例年のような新作ショーケースの本祭はなく、過去作品から6作品のセレクト上映です。
『コンクリート・ナイト』(2014)
ヘルシンキが舞台。橋が事故で崩落し列車が川に墜落、溺れてもがいるという悪夢で始まった14歳の少年の1日。同居の、年の離れた兄は翌日に、刑務所に収監されることになっています。大好きで尊敬している兄と、街をぶらつき、港で水遊びをし、1日を過ごすのですが…。モノクロ、とてもおしゃれな映像です。ただ、とても難解。この作品は、2014年のフォンランドアカデミー賞( Jussi Awards)では、作品賞、監督賞など6部門で受賞しています。監督はピルヨ・ホンカサロ。『“糸”~道を求める者の日記~』という東京を舞台にした作品もある女性監督です。
『リトル・ウィング』(2017)
好きか嫌いかでいえば、圧倒的にこちらの方が好きですね。シングルマザーと12歳の娘ヴァルプの物語。母は、翻訳の仕事をしているのですがそれほど裕福ではありません。何度受けても車の免許がとれません。気はいいが、ちょっとドジ。仲の良い母娘です。ヴァルプの望みは、幼い頃に別居し、いまや住所も知らない父親に会うこと。
ついヴァルプの日常に目が行きます。住まいは東ヘルシンキ。学校が終わると、郊外の乗馬学校に通います。りっちな子どもは自分のポニーも持っていますが、ヴァルプはコンプレックスはありません。親のことでからかわれてもめげる子ではありません。家の近くの友だちとつるんで、近くの駐車場から車を盗み出し、ドライブするのが楽しみです。彼女も運転ができるようになります。ある深夜、ヴァルプは友だちの男の子の車で、父親が住んでいるらしい、フォンランド北部のオウルへひとりで行くことを思い立ちます…。
タイトルは、ジミ・ヘンドリックスの曲から。ヴァルプが探す父親とのエピソードで効果的につかわれます。フィンランドでは、ヘビメタ愛好者も多いですが、オウルで途方にくれたヴァルプに温かい手を差し伸べてくれる妊婦が、元ヘビメタバンドにいたという設定でした。
監督はセルマ・ヴィルフネン。こちらも女性監督です。2014年のフォンランドアカデミー賞( Jussi Awards)では、10部門にノミネート、ヴァルプ役のリンネア・スコーグは主演女優賞を受賞しています。
ヴィルフネン監督には、ホビーホースという変わったスポーツをとりあげたドキュメンタリー作品『HOBBYHORSE REVOLUTION』があります。短縮版がNHKで放映されたそうです。再放送されないかな。
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