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えねーちけーアーカイブス #164 波濤館
ながちろのオンライン作品を掘り出して再利用しようというNHKアーカイブス。第164回は「波濤館」。
https://www.qbooks.jp/3000/354/#a1
おなじみ演劇部モノの並行世界というか、迷って辿り着いた先にあった寂れたホテルはカルト化した演劇部が住み着いて穏やかな生活を送っていたのだ、的な世界観。イメージとしては『さよなら絶望先生』の最終回の並行世界が頭をよぎる。
げ、あれも12年前に完結した作品なのか。
イメージとしては熱海の廃墟と化した別荘街。あのへんもブームに乗って無理やり崖っぷちに別荘を建てたはいいが、利用者の老朽化にともなって「あんなとこ、よう通えんわ」と放置され、寂れるに至る、みたいなところが非常に味わい深いのです。20年前に味わい深かったのだから、今ごろはどうなってるんでしょうねえ。今ァそんなところをうろついていると強盗の下見だと思われかねません。
実に世知辛い。
2000年代初頭、ファンタジー界隈に「廃園」のイメージが流行った時期がある。その前段階として「天空の城ラピュタ」のラピュタの寂れた感じも影響するだろう。谷山浩子「風のたてがみ」とかね。
ああ、わりと最たるもの、のアルバムが出てきた。この辺が最盛期かしら。復活せんかな幼虫社。このタイプの幻想をやるクリエイターをあんまり見かけなくなりました。当方のアンテナが腐っているだけかもしれない。
もちろん「全てに関連性がある」といった話ではなく、この辺の「廃園」の断片的なイメージをなぜか、当時の人々は共通認識として持ち得ていた感じがあったという話だ。
あれ、なんだろうな。かつての日本の繁栄を懐かしむ、でもなし、太古のロマンブームがあったでもなし、それこそ空中に、忽然と、「廃園」のイメージのブームがあったのだ。
本作はそうした廃園のイメージの、2020年の残滓、みたいな。そんなんではないかしらん。
もっと生々しい廃園がこれからは増えていくんでしょうけれども。
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