えねーちけーアーカイブス #131 ハミルトンの鯨
ながちろのオンライン作品を掘り出して再利用しようというNHKアーカイブス。第131回は「ハミルトンの鯨」。
今回長いんですよ。
思い入れの強い作品(であった)。うすぐらい、水の溜まった地下牢の入口に女の子が座り込んで虚空を見つめている。かび臭い虚空、闇の向こうからは空想上の鯨が泳いできて、いや、泳いでいくるのをじっと待っているのか。
と、こういった具合のイメージが20代くらいからあって、いつか作品化しよう、作品化しようと思っているうちに30代になり、40手前、「やるか」と書き始めたらこれが面白くもなんともない。いやぁガッカリした。ただ、終わらせなければならないので、なんとか収拾はつけたものの、自分が大事に抱えていたものなんか所詮こんな程度だったんだなー、と思うに至った、という意味ではエポックメイキングな作品でございます。
そうかもなあ、このあたりをきっかけにちゃんとお話を作ろうとか、ドラマを書こうとか、だんだん考えなくなっていったのかもしれない。
もっと面白くするにはどうしたらいいか考えろ? ぢゃあ、登場人物を増やして、屋敷の金目の物をどうするかで関係者に揉めさせて、「栄華」なるもおを完全に、シロアリがごとく解体するまで書いたら面白いのかもしれない。
が、それはそもそもやりたかったことかというとそうではなく、ただ、ぼーっと虚空を眺めているだけで、どこかで救いの手的なものがバーンと現れてくれるのではないかという甘やかな期待を、じっとりとした期待を描いてんでいべらぼーめ、と、気づいてみればちゃんと解説できており、状況的には今とぜんぜん変わってねえじゃん、ということに気づいてうなだれつつ本稿を終わるのであった。ノディアック。
お前が一番面白くないっ。
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