
えねーちけーアーカイブス #19 矛盾2005
ながちろのオンライン作品を掘り出して再利用しようというNHKアーカイブス。第19回は「矛盾2005」。
手元の資料によると2005年の6月に書いている。17年前か。マジか。もうそんなに経ったのか。
「古典を翻案してみよう。1000字だとすぐに出来るし」というわけで見境も節操もなく色々やろうとするのですが、これもまた原文通り「(矛と盾とどちらが強いか)答えることが出来なかった」という落とし方よりも「それでも無理を通すとどうなるか」を選ぶあたりに趣向が現れておるわけです。
その結果として「無理を通そうとすると別の無理が発動する」というのはあくまでも書き手側の希望的観測で、「そうであってほしい」部分の反映であります。ディテールに字数を使いすぎてオチが投げやりにも見えるんですが(実際そうなんぢゃが)我々には見えない脈絡のところで恐怖の大王が出てきて、かつ刺されるというのもわりと今の趣味と通底してる。続けるんなら、大王が「止せやい」とかいいながら矛も盾も没収して帰っていく――まぁ、広げるとしてもそんなもんでありましょう……。
最近、森乃福郎師(初代)の「腰巻調べ」とか聴いて作業してたんだけど、あの「いろいろあったけど問題はナニも解決していない」というのは好きな型なんだろうなぁ。「殿様が絶倫でいづれ命に関わるから、今のをみんな馘首にしてエロにまったく興味のない女をあてがいたい」「ぢゃあ女を集めて馬のまぐわいを見せて、濡れなかった女を登用しましょう」てんで女を集めて馬ァ見せて腰巻を調べる。みんな止むなく濡れちまうところに一人だけ濡れていない。「こいつはいい」「違うのこれ、二枚目で……」――といういわゆるバレ噺なんでありますが、これだけの装置を使って、結局ナニも解決しない。いいでしょう、コレ。
なんの話だったか。そうだ、「矛盾2005」も、ともすれば原典の「矛盾」もこの型よね、と無理やりつなげて本稿を終える。
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