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#164 正座の話

 和尚さんでも若い和尚さんは正座ができなくなっている、という話を聞いたことがある。そのまたおじいさんがご住職で、すでに膝をいわしているために椅子に座しての法要となる、のを良しとしてきたために孫に正座の習慣がなく、10代後半にもなって修行の場で正座をし続けると、足の骨を圧迫骨折してしまうんだとか。

 筆者アタクシに関してもうしあげれば、昭和のおじさんなので幼少時から茶の間に座って飯を食っていた。太っていたのであぐらでは窮屈、正座では足が辛い、というのでぺたん座り、つまりは、膝から下を尻の下にしかないタイプの正座で30年くらい過ごした。で、結果として足の骨が妙なぐわいに湾曲している。よく歩くので90kg近い体重(当時)を支えねばならず、ふくらはぎの筋肉が異常に不均等についている。

 ところが最近、ちゃんと正座をするようになった。腰痛のためだ。「本を読む姿勢考(#149)」で提示した電車で読むスタイルも継続はしているが、椅子に座っていても、あぐらをかいていても、ソファに座っていても腰のことが心配でならなかったのが正座によって解消される。
 はじめのうちは足の痺れが当然生じるのではあるが、どういうメカニズムか、5分が10分、10分が20分と痺れない時間が伸びていき、最近はとうとう1時間でも痺れずに立ち上がることが可能となっている。しかし本当にどういうメカニズムなんだろうね。

 ところで娘が空手を習い始めた。強くなるための稽古とは云え、道場への道はまれによく不審者が出る場所なので送り迎えをしている。格闘技なぞ、高校の選択授業で柔道をやった程度なので稽古そのものが実に新鮮なのだ。娘はおろか、いろいろな帯色の稽古を観ているだけで一時間なんぞあっという間に過ぎてしまうのだが、どうも最近警戒されている気がする。
 「一時間ものあいだ足も崩さずに平然と正座で稽古を凝視している太った坊主」という部分が、ともすると、怪しいのかもしれぬ。

豆知識:日本で正座が定着しはじめたのは、畳が出来てから。

不明

 たまに稽古会場の床が板張りの時があるのだが、さすがに40分くらいできつくなってくる。上記の話は本当かもしれない。

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ながちろ
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