ヴァリガーのクエスト#2②、憑き物の落ちたラヴォクはヴァリガーに後悔を告げる
<①の続き。激闘の末に主人公らはラヴォクを倒す。すると、まるで打って変わった口調と態度でラヴォクが口をきき始め、それを聞いたヴァリガーはまるで狐につままれたよう>
ラヴォク
「こ―ここはどこだ?わしを乗っ取っていたモノは…消えたのか?」
ヴァリガー
「何のまねだ?俺たちを騙そうというのか?」
ラヴォク
「そなたは誰だ?わしには…ほとんど見えぬ…」
ヴァリガー
「俺はあんたの子孫だ、ラヴォク。俺はヴァリガー・コーサラ。あんたの寿命を伸ばすために俺の身体を利用させるつもりはない。まだ息があるなら、ここで止めを刺してやろう!」
ラヴォク
「コーサラ…そう、思い出した。わしの一族だ。おお、わしは死のうとしている、ヴァリガー・コーサラよ。そなたの目にもそれは確かだろう。わしにとってはこの上ない救いだ」
ヴァリガー
「へ?言っておくが、死霊使いめ、俺は騙されないぞ!」
ラヴォク
「わしもそなたを騙しはしない、若いの。わしはあの異様なモノによって、わし自身わしの意識のなかに、永遠のように長い時間を閉じ込められてきたのだ。死ねるのは幸いというものだ」
ヴァリガー
「あんたは自分は悪人ではないと言いたいのか?食人鬼のように自分自身の一族を食いものにしてきた魔術師ではないと、ずっと俺の一族を血の呪い*で苦しめて来なかったとでも?」
ラヴォク
「いや、いや。わしはまさにそいつだ。わしはそなたが今言った通りの、それよりなおおぞましくさえある魔術師だ」
「わしは永遠に近いあいだ、あのモノがわしの意識をこじ開けてスフィアの秘密を奪おうとするのと戦ってきた。わしはあれを…わしの故郷に放すのに忍びなかった。あれを退治してくれたことに感謝する」
ヴァリガー
「で、あんたのやってきたことがこれで全部償えるはずだとでも?俺に言わせれば、お似合いの報いでしかないね!」
ラヴォク
「全くその通り。わしは自分の犯した罪をじっくり考えるだけの歳月を、苦痛と懊悩に苛まれる歳月を過ごしてきた。わしがそなたを苦しめたのなら、ヴァリガー、わしは何をおいてもそなたにわが悔悟を捧げよう」
ヴァリガー
「俺は…」
ラヴォク
「もし、全てをやり直せるなら…ああ…もしわしが過去に戻って、かつてわしだった人物に、スフィアは高慢の産物であり失敗の運命に呪われていると、言い聞かせてやれるものだったら」
「しかし、わしにはできぬ。死がもうすぐわしを、この長過ぎた生から解放してくれるだろう」
*コーサラ家はラヴォクのおぞましい罪作りのせいで、その血に魔術の天分と共に、それに魅入られて何も他を顧みなくなるという呪いが流れていると言われている。ヴァリガーの母もその犠牲者のひとりで、魔術に夢中になっておびただしい資産を研究に費やし、死んだ夫をアンデッドにして蘇らせるなど、常軌を逸した行動をいろいろやった挙句に不幸な最期を遂げた(ヤンとの会話で明らかになる。さすがのヤンが自分から会話を切り上げるほどの悲惨な内容😱)。だからヴァリガーは敢えてメイジじゃなくレンジャーを職にしたのですな。