ワーキーンの信者と主人公の対話、失われた富の女神、再来を信じて
<アスカトラ、テンプル地区にて。ここには寺院が多いが、寺院を持たない、またいずれ持ちたいと願う特定の神の信者もいる。ここにいる信者は”災厄の時”*に行方不明になったままの交易と繁栄の女神ワーキーン*をなお信奉しているらしい>
主人公
「彼女はここでは忘れられていないようね…でも、彼女はもう信仰されなくなったものだと思ってた」
カウンター・カラヴィス
「まことに!まだ世に在りし頃には、ワーキーンは大いなる”金貨の都市”*のみなに名を知られ、手厚くもてなされておりました!かのプロムナードは彼女を讃えて建設されたもの、至る所で交易が繁栄しておりました!」
「我らの世から彼女が消えてしまったのは悲しいこと…我らの多くはなお彼女を讃えております。ある日彼女は戻ってくる、そして当然所有すべき富を取り返すと、わたくしは固く信じております」
主人公
「あなたはもういなくなった神を信仰なさるの?奇妙な気がするけど」
カラヴィス
「我ら信者のすべてがリイラ*に、ワーキーンの行方がわからなくなったと告知した女神に信仰を移したわけではありません。我らワーキーンの信者はなお彼女を心から深く慕い、彼女が世に戻らんことを祈っておるのです」
「お望みならわたくしに唾してくだされ…我らは彼女を讃えて金貨を費やすでしょう、そして彼女が戻った日には盛大に祝うでしょう。そうなれば、不信心者どもは繁栄を求めるのにラサンダー*に向かって必死に祈らねばならなくなるでしょうて」
*この時から約10年前、神々が最高神エイオーの怒りに触れ、肉体を持った可死の存在にされて地上に落とされた時のこと。この期間(1年間くらい)には一介の人間に殺されたり(主人公の父のバール神とか)、神どうしで戦い合ったり、強引に天界に帰ろうとして番人のヘルム神(例外的に神のままにされた)に倒されたりする神が相次いで大騒ぎになった。
*ワーキーンは”災厄の時”にひそかに天界に帰ろうと計画し、ヘルムに見つからぬよういろいろ術策をめぐらしたが、結局それが仇になって、どこへ連れ去られたか行方不明になってしまった。
*アスカトラの別称。その中に”ワーキーン・プロムナード地区”がある。
*リイラはワーキーンが天界に帰る計画を実行する時、それには身に持つ神としての能力が妨げになると考えたワーキーンから、彼女の神の職能を譲り受け、いわばワーキーンの代理人(神)のような立場になった。
*ラサンダーは若さや再生を司る夜明けの神。偉大で信仰を集める善神だが、取り引き成功やお金儲けのお願いをするにはお門違い。
*なお、この時から1、2年後のこと、ワーキーンは囚われていた地獄(アビス)から救い出され、無事にアスカトラに帰還がかなった。この信者さんもさぞ喜んだことだろう…