BG2, 第2章、神殿を守る者たち①、病める守護者、無目的の生
<テンプル地区、旧下水道地下、地下神殿にて。主人公らは二つに分かれた杖の半分を探しつつ、地底湖の上にある何かの神殿の前までやって来た。そこには大勢の警備らしき者の姿が見えたが、いずれもやつれて無気力に見える>
病める者
「こんにちは」
主人公
「あなたにもこんにちは。あなたはどなた?不躾をする気はないけど」
病める者
「大ありだろ、もちろん。でなきゃ聞いたりするもんかね。だが構わんさ。あんたに隠すことは何もないし、あったところでどうでもいいさ」
「こう言うとあんたは自分が重要人物扱いされとると思うだろ。ところが、わしはあんたに全く興味がないだけなんだ。わしらは何にも関心がないと、あんたにもじきわかるだろうよ」
主人公
「あなた、人生に意味をなくしちゃったの?それならなぜここでこうしてるの?」
病める者
「ああ、説明してほしいってか。型通りだ。繰り返さんですむよう、ほんと何かに書いとくべきだな。と言って、ここに来る者が多いわけじゃないが」
「わしらは守護者だ。神殿を守護してるんだ。これは非常に重要な所で、と言うのも数百年ごとに誰かがここまでフラフラ迷い込んでくるからだ」
「わしらはわしらが守ってるものが何かも、ここに何代にわたってこうしておるのかも、目的を持つってのが何のことかも忘れ果てた」
主人公
「でも、あなたはきっと何か大いなる意志に仕えてるに違いないわ。あの神殿はどの神のもの?」
病める者
「あの神殿?わしらがその神の名を唱えてからあまりにも長い時が経ったんでな、みんなから忘れられちまったよ。わしらをこんな目にあわせとるやつに、忠誠も何もないだろ?」
主人公
「それから、あなたのこの病気は?これは一体?」
病める者
「これはわしらの心と魂の腐れさ。わしらはわしらを存在させ続ける力を憎むようになった。だからそれがわしらを内側から腐らせてるのさ。治すすべはない。逃れるすべもない。やむ時もない」
主人公
「なら、なぜここに残ってるの?」
病める者
「わしらはここから出て行けない。わしらは死ぬことすらできない。わしらは永遠に魂を再生されてまた産まれてくる。わしらはもう望んでいない生を強いられていると、繰り返し繰り返し、わしらは思い知らされている」