BG2, 第2章、ダオ・ジンの物語1、逃亡中のラクシャーサ
<トレードミートにて。ギルドマスターの話を聞いた主人公は、町の正門近くのテントに精霊ダオ・ジンを訪ねてみる。物資買い占めという非道なことをしている割には、彼は愛想よく主人公を迎え入れる>
カーン・ザーラー
「ようこそ、歩行者*よ!わしはカリムシャン*のカーン・ザーラー、ダオ・ジンだ。ご用を承ろう!」
主人公
「ダオ・ジン?」
カーン
「ジンの部族については、ほとんどの定命の者には理解できんものとわしにはわかっとる。混み入ったもんなんじゃ、歩行者よ。わしはダオの一家のジンだと言えば十分じゃろ、なあ」
主人公
「カリムシャンのジンが、トレードミートまで来て何をやってるの?」
カーン
「ああ、こりゃまったく不思議ってもんだろうな、定命の者よ、ええ?ダオの者は普段ならこんな場所に住もうとはせん、たとえ仮りにでもだ、実際」
「わしらは務めでここに来たと言えばわかるじゃろ。カリムシャンから悪名高い犯罪者…イータフィアという名のラクシャーサを探しに来たのじゃよ」
「ラクシャーサというやつは、お前は会ったことがないかもしれんが、悪賢いシェイプシフターの盗賊でな。わしらはこいつを追跡して今ではもう何ヶ月にもなる。あと少しという所でいつも逃げられてな」
「わしらはもうこの追いかけっこにウンザリしてきた。イータフィアが定命の者に化けてここらに隠れとるのはわかっとる。そこで、ダオはこの町の交易を乗っ取ってやることにした」
「わしらダオは、ここに来る商品をみな買い上げた上、定命の者らには買えんような高値をつけることにした…定命の者らがわしらの代わりに例のラクシャーサを見つけてくるまで、こうやっておるつもりなのじゃ」
「やがて食い物だ何だにこと欠くようになれば、人間どももやつを見つけようと死にもの狂いになるじゃろう。まあわからんがな。それでも、やつを探す手間は省けるし、それにこうしとるのはえらく面白いわい。そうは思わんかな?」
*wayfarer は旅人、旅行者のことだが、特に徒歩のものを言う由。足がない(精霊だから煙みたいに浮いてる)ジンが人間を呼ぶには格好の言い方。
*カリムシャンは、ここアムンよりずっと南にある大国。首都カリムポートはアスカトラやバルダーズゲート以上の大きさを誇る大都市。アラビア風味の国で、古代のジン同士の争いで出来たという大砂漠などもあり、ジンに由来の深い国でもある。ちなみにコンパニオンNPCの/だったラサードやカリードやサファナはカリムシャンの出身者。