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BG2, ヤンのクエスト#2、ヤンは自宅に戻ろうとする

<「うちにリサが来ている」というイトコの伝言を聞いたヤンは、主人公にすぐに自宅に戻りたいと申し出る。いつもおちゃらけたヤンがこんなに真剣になるなんてと、主人公は奇妙な感に打たれる>

主人公
「リサが誰なのか、それでなぜあなたが彼女を心配してるのか、教えてくれてもいいんじゃない」
ヤン
「わしには少々話しづらい話だが。この、わしのイトコが言ってたリサって子はわしの古い友だちでな。友だち以上と言ったほうがよかろう。彼女もわし同様、貧乏育ちじゃった。暮らしは難儀だった、でも幸せがなかったわけじゃあない」
「わしは他の誰も比べものにならんほどリサを愛していた。彼女はアスカトラ一の器量よしじゃった。そう思ったのはわしだけじゃない。年頃になると、彼女には何人もの求婚者が現れた。わしは少々心配だった。わしは彼女のいちばん仲のいい友だちだったし、彼女もわしを愛してると言ってくれてはいたが」
「アスカトラにはたくさんのノームが住んどる。田舎の森や洞窟暮らしに慣れてたノームにとって、ここの暮らしは全然勝手が違うもんだ。たくさんの一家が、城壁とアムンの法に守ってもらう安全と引き換えに、貧しさと戦っとる。が、中には素晴らしくうまくやってのける一家もある。やつはそういう一家の出身じゃった」
「ヴァエラグは、アスカトラのノームが住んでる一帯の”ビジネス”一切を取り仕切っとるノームでな」
主人公
「その”ビジネス”というのは、犯罪行為のことを言ってるんでしょ」
ヤン
「そう。やつは正直な商人のふりをしとる盗賊じゃ。噂によれば、シャドウ・シーフ*を直接上に戴いてるらしい。たとえそうでなくても、やつは好人物とは言えんかった。乱暴で酷薄、権力を弄するのが大好きな男だった。しかも上品で、洗練されていて、とても、とても金持ちじゃった」
ヤン
「わしは彼女にプロポーズして、彼女は受け入れてくれた。わしらは翌年の真夏のお祭りの時に結婚式を上げる予定だった。それも、彼女とヴァエラグが出会う前までのことじゃった。ほとんどの男がそうだったように、やつにもたちまち彼女が気に入ったんじゃ」
「やつは彼女をのぼせ上がらせちまった。やつは彼女をプレゼント攻めにし、都会の上流社会の行事に連れ回した。当時、わしは悔しさのあまり、やつが彼女に何かの呪文をかけたに違いないと思い込んだほどじゃった。いま思えば、わしだって魔法を知ってるからな、彼女は彼女自身の意志でやつに靡いたんだとわかる。彼女はそれからすぐ身重になって、2人は結婚した」
「わしもできるもんなら、彼女にあんな世界を与えてやりたかったんだが。わしはもうこだわろうとは思わん。ただ彼女に幸せになってほしい。ヴァエラグは卑しい残酷な男だが、彼女はわしよりあの男のほうをもっと愛しとる。これ以上話すことはない。用意がいいとあれば、わしはすぐアスカトラの自宅に戻りたいと思う」


*アスカトラの裏社会を切り回している盗賊集団。

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