もっと笑っちゃうような
私はいわゆるBtoCの企業で働いていて、それは私の望んだ結果だ。
生きているうちにいろんな人と関わりたいし、顔も見えない誰かのことを考えるのが私は嫌いじゃない。
かといって直接的な接客業では暴言を浴びせられることもあるだろうし、何より立ち仕事が圧倒的に多い。
私はサービス業の本社で最近はユーザーの人々に向けて発信するメールの文章を考えていたので、座りっぱなしだし天職だと思った。
何万もの人に送られるメールだから、もちろん部長だけでなく会社の法務部なんかの承認も必要になる。
部長は「この文章だとやりすぎ」「これは誤解を生む」と細かくチェックしてくれた。
すごくありがたい反面、なんだか萎えた。
わかりやすく正確に物事を伝えること、クレームにつながる可能性を少しでも減らすことは大切だと思う。
でも、私はせっかく送るなら多少ふざけた文章を送って誰か一人でもクスッとさせたいんだよなあなんて思った。
私が大きな会社の社長だったら、社内の出来事をまとめた意味のない新聞なんかを書いて配布してみたり、メール一つ一つに伏線のようなものを隠してみたりすると思う。
TikTokで踊っているような会社はロクでもないという噂も聞くし、私も古き良き某航空会社のCAが踊っている公式動画を見てなんだかなあと思った覚えもある。
そういうバズるのを目的にしているスケスケのPRはいけ好かないが、一見無駄に見えるが純粋なこだわりであるものは私はとても好きだ。
私の一番気に入っている絵本は、島田ゆかさんのバムとケロシリーズ。
あの絵本には、メインキャラクター以外にも小さなキャラたちが各々別のストーリーを展開しているのがみて取れる。
それがとても好きなのだ。
あってもなくても良さそうだけど、あったほうが楽しい。
そういう小さなこだわりを見つけた時、自分だけが気づいているような幸せな錯覚を見ることができるし、なんだか自分が特別に繊細なセンスの持ち主なんかに思えてしまう。
私は、周りの人や社会にそういう高揚を与えてあげられる人になりたい。
明日、かしこまったつまらないメールに縦読みで他のメッセージなんか入れてみようかしら。