【9月26日】マーケットレポート 『政府・日銀、24年ぶり円買い介入を実施』
本日の市場
●株式市場&債券市場
…22日に行われたFOMCの結果が市場予想よりも「タカ派」姿勢だったことを受け、前日に引き続き3指数揃って続落。
…日経平均株価は続落。21~22日に開催されたFOMCでは市場予想よりも強いタカ派姿勢が示され、景気悪化懸念から同日の前日の米国株が大幅下落。それを受け、日本株も売りが優勢だった。ただ、日銀の金融政策決定会合を経て円安ドル高が進む中、円安恩恵株が買われ、下げ幅を縮めた。
●為替相場
…22日、日銀が金融緩和策を継続する方針を決めたことで改めて、日米の金融政策の方向性の違いが意識され、ドル円は一時145円後半をつけた。しかし、その夕方、政府・日銀による単独での円買い介入により、一時140円台と約5円程度上昇した。
本日のトピック
①政府・日銀、24年ぶり円買い介入を実施
政府・日銀は9/22(金)夕方、約24年ぶりとなる円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った。単独介入だ。
円買い介入に踏み切った決め手として神田財務官は、「円相場の水準そのものではなく、値動きの粗さ」だと急激なボラティリティに対し、危機感を示した。それにより、円相場は一時140円台と直前から約5円程度上昇した。
しかし、日米金利差という構造的な問題が解消されていないため、円安トレンドは今後も変わらない。介入の規模や今後も続けていくのか?そして、アメリカに何かしらの動きはあるのかなどが今後の注目となる。
②日銀、金融緩和策継続
日銀は21~22日の金融政策決定会合で大規模な金融緩和策を維持する方針を決めた。
急激な円安の進行は、企業の事業計画の策定を困難にするなど先行きの不確実性を高めるため、日本経済にとってマイナスである。が、それ以上に金融引き締めにより、金利を上げ、企業や家計の借り入れ負担が上がり、景気に逆風となることのほうがマイナスだと判断したようだ。
これにより、144円台前半だったドル円は、一時145円台後半へと急速に下落し、後の円買い介入へ繋がった。
③NISA恒久化の可能性高まる
岸田文雄首相は22日、ニューヨーク証券取引所で講演し、NISAについて「恒久化が必須だ」と表明した。
それにより、従来の制度が以下のように変化する可能性がある。
・非課税期間を超えると課税されてしまう
→非課税期間の恒久化
・制度自体に期限がある(23年まで投資した分のみ非課税枠が適用になる)
→いつどのタイミングで投資しても非課税枠を利用できる(10年後、20年後に投資しても非課税枠を使える)
・年間投資枠が少ない。
→NISA(年間120万円から240万円へ)、つみたてNISA(年間40万円から60万円へ)
NISAの恒久化や簡便化に加え、非課税枠の拡大に踏み切れば、「貯蓄から投資へ」の流れを加速させることができるかもしれない。
④地銀5行が脱炭素で連携、商品開発手法を共有
横浜銀行や七十七銀行、北陸銀行など有力地方銀行5行が企業の脱炭素などを金融面から後押しするための業務提携することで合意した。
各地共通の課題を解決するため、商品やサービスを共同化するほか、商品開発や人材育成などのノウハウを共有する。
例えば、北海道銀行は風力発電所の開発で融資しており、他の地銀が持っていない産業情報も共有していく。横浜銀行はすべての自動車がEV化したときのリスクシナリオを分析しており、こうした知見をもとに部品会社のサポート体制を検討する。
今後も銀行同士の非競争の領域で業務提携を強化する流れが広がっていく可能性がある。
個別銘柄関連トピック
①トヨタ、ロシアから撤退
トヨタ自動車は、ロシア事業から撤退することを決めた。
トヨタはロシアにある工場での生産を停止していたが、再開の可能性が見通せないこともあり、従業員への退職金の積み増しや、再雇用の支援などに資金を十分に当てられるよう、早期に撤退を判断した。
トヨタはロシアで2021年、世界生産台数の約1%にあたる8万台を生産、11万台を販売していた。
②トヨタ、生産下振れ
トヨタ自動車は、10月に世界で80万台程度生産すると発表した。
当初は90万台生産する計画だったが、半導体不足の影響で下振れる。内訳は国内で25万台、海外で55万台を見込む。半導体不足の影響で7工場10ラインが最長12日間停止する。多目的スポーツ車の「RAV4」や「ハリアー」などが影響を受ける。
③ガストなど、来月5%値上げ
ファミレス最大手のすかいらーくHDは、ガストやバーミヤンなど5業態で扱う商品のうち約4割の商品を10月から平均5%値上げすると発表した。
原材料費や物流費の高騰が理由。同社は7月にもガストなど5業態で値上げをしており、2022年に入って2度目の値上げとなる。
④ローソン、アバター接客開始へ
ローソンは、11月から店舗に設置したモニターに表示したアバターを使った接客を始めると発表した。
専用オペレーターが遠隔操作し、セルフレジや商品の説明をする。まず、都内の1店舗で実験し、2025年度をメドに全国200~500店規模に拡大する。店舗サービスの拡充やセルフレジと組み合わせた省人化、多様な働き方の実現につなげたい考えだ。
⑤三菱電機、下水道料一部未払いにより、損害遅延金14億円
三菱電機は、伊丹製作所(兵庫県尼崎市)で下水道使用料の一部未払いが27年にわたって続いていたと発表。損害遅延金含め、約14億3000万円を9月末までに支払うことで尼崎市と合意した。