【9月15日】マーケットレポート 『日銀レートチェック実施するも、円買い介入の可能性低く』
本日の市場
●株式市場(9/14の終値)
ダウ:31135.09(+30.12)
ナスダック:11719.67(+86.10)
S&P:3946.01(+13.32)
…昨日の反動で自律反発狙いの買いが先行し、3指数揃って反発した。しかし、FRBによる大幅な利上げの懸念は根強く、上昇幅は小幅にとどまった。
日経平均:27818.62(▲796.01)
…8月(米)CPIの上昇率が市場予想を上回り、米国の利上げ加速への警戒感から前日の米株式市場が急落。それに伴い、東京市場でも投資家心理が悪化、幅広い銘柄で売りが強まった。
●債券市場
米2年国債:3.790%(+0.034)
米10年国債:3.404%(▲0.019)
日10年国債:0.252%(+0.002)
…政策金利に敏感な米2年国債利回りは、8月(米)CPIの結果を受け、一時3.8%台まで上昇。2007年以来およそ15年ぶりの水準を更新した。
※ 5:50 テレビ東京「モーニングサテライト」より
●為替相場
1ドル = 143.18 - 20(円高↑)
…日銀がレートチェックを実施したことを受け、円買い介入の可能性から、円は対ドルで一時142円台まで上昇した。ただ、為替介入のハードルも高く、実際には介入しないとの見方が強く、徐々に円安方向に進んだ。
※ 5:46 テレビ東京「モーニングサテライト」より
●商品市況
NY原油:88.98(+1.67)
※ 9/14 16:59 SBI証券-WTI原油先物より
本日のトピック
①日銀レートチェック実施するも、円買い介入の可能性低く
日銀は14日、レートチェック(為替介入の準備のために市場参加者に相場水準を尋ねる)を実施した。レートチェックは円買い介入に向けた準備段階にあたり、政府が一段と警戒感を強めたことを意味する。これにより、円相場は1ドル=144円から142円まで買い戻される場面があった。
しかし、円買い介入にはハードルもある。高インフレが起こっているアメリカは輸入物価を抑えるドル高を歓迎しているため、協調介入の理解が得られにくい。もし、単独で円買い介入を行ったとしても、売ることができる外貨量も限られているため効果は限定的になる。
たとえ、円買い介入に踏み切ったとしても、根本的な日米金利差が埋まるわけではなく、円安圧力は残り続ける。日銀の今後の方針はどうなるか、21~22日の金融政策決定会合が焦点となりそうだ。
②大手金融、次々と「仕組み債」販売制限へ
「仕組み債」について、大手金融機関が顧客への新規勧誘停止に動き始めた。三井住友銀行と千葉銀行は販売を全面的に停止。みずほFG、横浜銀行、広島銀行は販売を一部停止する。
「仕組み債」は債券に金融派生商品を組み込むことで、一般の国債などより高い利回りを期待できるが、一方でその特性やリスクを十分に把握することが難しく、顧客とトラブルになるケースも多い。
各社とも、退職金運用の高齢者や口座開設して間もない投資初心者への新規勧誘を取りやめ、顧客の損失防止を目指す。
③新ワクチン承認受けるも、接種の浸透へ難路
オミクロン型に対応した新型ワクチンの接種が20日より始まるが、従来型のワクチンの接種率が回を追うごとに低迷している。感染拡大の勢いも弱まる中で、接種の浸透が課題となる。
新ワクチンは前回の接種から少なくとも5ヶ月以上の間隔を空ける必要があるが、その場合、4回目接種済みの60歳以上の高齢者の多くは年内に間に合わない。そのため、期間の短縮も検討している。今冬に第8波やインフルエンザの同時流行の恐れもあり、経済へのダメージを抑えるためにも新ワクチンの接種浸透が鍵となる。
④ペイペイ、アプリで投信
PayPay(ペイペイ)などの決済事業者は、アプリで資産運用や個人ローンなどの金融サービスに触手を伸ばす。PayPay証券は、8月決済アプリから上場投資信託を購入できるサービスを始めた。運用商品を売却するとPayPay残高にチャージされて買い物に利用できる。
また、PayPayなどのスマホ金融とメガバンク・大手証券との連携も進んでいる。メガバンク・大手証券は若年層の顧客基盤を取り込みたい。スマホ金融は規制対応や商品ラインアップなど大手金融機関のノウハウが必要。両者にメリットがある。
スマホ画面を舞台にした個人金融の流れは、日常に溶け込みつつある。