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【9月28日】マーケットレポート 『英ポンド急落、トリプル安に』

本日の市場

●株式市場&債券市場

…22日に行われたFOMCの結果が市場予想よりも「タカ派」姿勢だったことを受け、前日に引き続きダウとS&P500は続落。ただ、この日発表された経済指標である「米8月新築住宅販売件数」や「米9月消費者信頼感指数」が市場予想を上回ったこともあり、下げ幅は大きくはなかった。

Googleファイナンスより(9/27終値)

…日経平均株価は4営業日ぶりに反発。前日の700円超の急落の反動で自律反発狙いの買いが優勢だった。前日に下げた自動車株や食料品などの上昇が目立った。
ただ、欧米中央銀行による積極的な金融引き締め姿勢やイギリス、イタリアでの財政悪化懸念の影響もあり、積極的な運用リスクを取る投資家は少なく、上値は重かった。

Googleファイナンスより(9/27終値)

●為替相場

…FRBによる金融引き締めが長期化するとの見方から前日の米10円物国債利回りの上昇による、日米金利差拡大を見込んだ円売り・ドル買いが優勢だった。

Googleファイナンスより(9/27終値)

本日のトピック

①英ポンド急落、トリプル安に

英ポンドは対ドルで過去最安値を更新し、10年物国債利回りは上昇(債券価格は下落)し、4%を超えた。原因は、大規模減税と国債の増発だ。
インフレが進行し、企業に痛みを与えなければいけない状況の中で、法人税引き上げの撤廃や所得税引き下げなど矛盾した政策を行う予定だ。また、その政策に対する財源は不明であり、歳出削減案も示されていない。
それによる財政悪化懸念で、投資家は資金を引き上げ、株安・債券安・通貨安のいわゆる「トリプル安」となっている。

②国民年金減額の抑制、厚生年金で穴埋め

厚生労働省は年々減少傾向にある基礎年金(国民年金)の給付抑制を緩める検討に入った。埋め合わせは、会社員が払う厚生年金の保険料や国庫負担で埋め合わせ、月5万円以上に保つ。
そもそも少ない国民年金の給付が人口減少により、さらに減少すると老後の暮らしを支える機能を果たせなくなると懸念したためだ。
逆にこの影響で高所得の会社員は将来の給付が目減りする可能性がある。

③企業の新たな情報開示義務、人的資本

個人の知識や技能を企業の資本とみなす「人的資本」の情報開示が一気に進む。政府は早ければ2023年3月期の有価証券報告書から、開示を義務付ける方針だ。
「人的資本」は従業員、または従業員が持つ知識や技能を指す。近年、欧米を中心に従業員を「付加価値を生み出す資本」と捉える動きが広がり、それが財務情報だけでは測れない企業の本質的な価値を観る材料となる。しかし、多くの企業が人的資本の開示をしたことがなく、「どの程度まで書くべきなのか分からない」、「負担感が大きくなる」などの悩みがある。
「人的資本」の情報開示を通じて、日本企業が世界の投資家から「選ばれる企業」になれるか試される。

個別銘柄関連トピック

①スギHD、3~8月期は増収減益

ドラッグストア「スギ薬局」を展開するスギホールディングスの3~8月期決算は増収増益だった。
売上高は、前年比6%増かつ過去最高の3324億円。新型コロナウイルス対策の制限が緩和され消費者の外出が増え、化粧品や日焼け止めが好調だった。
純利益は前年同月比9%減の89億円。薬価改定に伴い、調剤部門の採算が落ち込み、光熱費の上昇も響いた。

②Jフロント、今期上方修正

J・フロントリテイリングは、2023年2月期の純利益が前期比+3.7倍の160億円になる見通しだと発表した。
売上高は、前期比+4%増の3460億円。7月以降の新型コロナウイルス第7波の影響で客足の回復が鈍くなったことで従来予想を下回った。
純利益は、前期比+3.7倍の160億円。前期店舗の入場制限に伴う助成金収入やコスト削減により、従来予想を45億円上回った。

③(株)あさひ、2ヶ月半ぶりの安値

自転車販売の(株)あさひは、前日比▲1%安の1279円と約2ヶ月半ぶりの安値をつけた。
3~8月期の税引き利益は28億円と前年同期比▲17%の減益だった。原材料価格などの仕入れコスト上昇と円安(中国で生産しているため)による利益の圧迫が嫌気された。
同社は「高単価電動アシスト自転車」の販売増加で巻き返しをはかる。

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