【11月3日】マーケットレポート 『FRB利上げペース減速示唆するも、到達水準は「より高く」』
本日の市場
●株式市場&債券市場
【外国市場】
・FOMCの声明にて「12月会合での利上げペースの縮小を示唆した」ことで、FRBはハト派姿勢だと市場は判断。株高へ⬆
・その後のパウエル議長の会見にて「最終的な利上げの到達点が前回の会合よりも高くなった」「どこまで利上げするのか、どのくらい引き締め的な政策を続けるのかが重要だ」と発言
・パウエル議長が利上げペースを縮小することを示唆しつつも、最終的な金利水準(ターミナルレート)を想定より引き上げ、なおかつ、すぐには利下げしない(想定より長期化する)点を強調したことで、FRBがタカ派姿勢だと市場は判断。1時間もせず、一転して株安方向へ⬇
・また、米金利の上昇や「逆イールド」の深まりによる景気後退懸念もあり、ハイテク株は特に売りが先行⬇
【東京市場】
・前日の米株安の流れで朝方は下げで始まる⬇
・好決算銘柄への買いは相場を支えた⬆
・FOMCの結果発表を控え、利益確定売りがやや優勢だった⬇
●為替相場
・FOMC声明によるハト派姿勢をうけ、日米金利差縮小を見込んだ円買いドル売りが先行。一時146円前半まで円は上昇した。
・しかし、その後のパウエル議長の会見では、FRBがタカ派姿勢と市場は判断。一転して円売りドル買いが進行し、147円後半まで円は下落した。
本日のトピック
①FRB利上げペース減速示唆するも、到達水準は「より高く」
・FRBは、4会合連続となる0.75%の利上げを決めた
・FF金利の誘導目標(短期金利)は、3.75~4.0%となった
・(パウエル議長は会見で)急ピッチの利上げが時間をおいて深刻な景気後退を招く「引き締めすぎ」のリスクを考慮し、徐々に利上げペースを減速することを示唆した(株高要因⬆)
・一方で、金融引き締めをどこまで続けるかという問題のほうが重要になっているとの見解も示した
・その上で、「最終的な金利水準(ターミナルレート)はより高くなる」との見解を示した(株安要因⬇)
・利上げの停止時期についても「かなり時期尚早だ」と指摘した(株安要因⬇)
②「事業成長担保権」創設へ、金融審議会にて議論開始
・事業成長担保権(不動産などの有形資産だけでなく、独自の技術力やブランドといった無形資産を含む事業全体)を担保にして、金融機関から資金を調達できるようにする制度。
・従来の融資では、不動産担保や経営者保証などの個人保証に偏り、それによって
①不動産などの資産を持たない企業に資金が行き渡らない
②経営者が、経営者保証にビビって借り入れを躊躇してしまう
③経営者保証を受け継ぐのが嫌だから後継者候補を拒否するケースもある
などの課題があった。
・金融庁はこうした課題を踏まえ、「事業成長担保権」制度を創設することで、企業の資金調達の幅が広がり、起業や事業活性化につながることを目指す。
・ただ、事業が行き詰まり、担保権を実行する際に本当に回収できるかどうかは疑問が残る。