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【異世界軍記物語】総括のコンジェルトン

第一部 帝国の分裂

第七章 最終決戦 / 闇からの招待

「冥界におわします五正神よ、我ら物質界の卑しき者どもに、どうかご慈悲をお与えください…」

アタシは跪いて祈りを捧げた。そうするしかなかったのだ。

そして、それと同時に、パパの言葉がアタシの頭の中を反芻していた。

(ワタシが、神殿の巫女パイティアに……)

その時、天空城の方角から、凄まじい爆発音と爆風がワタシたちを襲った。

「キャアッ!」

「空を見よ!」
「て、天空城が…天空城が見えるぞ!」
「いや待て、ゆっくりとだが落下している!!」

はるか上空から、雲の合間を縫うように、天空城がその巨体をゆっくりと地に落としていく。それは遥か遠くからでも、はっきりと目視できた。

「何が起きたんだ!?」
「勝ったのはどっちだ!?」

不安の中、人々はどよめきあった。

「ボエァ!ボエァァァアアアアアアアア!!」
再び大地を恐ろしい咆哮が包みこんだ。

「アァァァエェェェェェェェェェェ!!」

「見よ!空から赤い光が!」
「天空龍だ!天空龍の赤い光だ!」

赤い光は崩れ行く天空城に降り立つと、そこからさらに離陸した。

天空城は地表に近づくにつれ、さらにその落下速度を速めていくように見える。そしてそれとともに、大量の瓦礫がフォーオンの大遺跡群へと降り注いだ。

「天空龍が、赤い光がこっちへやって来る!!」

それは太陽すら覆いかねない、巨大な龍だった。

天空龍はその巨体をもって、大陸を一巡するかのように悠々と飛行した。しかしその翼は、端々が破れ落ちるように垂れ下がっており、亜空間メタフィールドでの戦いの凄まじさを物語っていた。

天空龍は、地上の者たちに自らの勇姿を見せつけると空の何処かへ去っていった。

「ゆ、勇者たちが…ウルティマ・バングルを葬ったのだ……」

「お父様!」

皇帝ファルムスは、その裸体を小刻みに震わせながら玉座に腰掛けた。

「う、ウルティマ・バングルが、ゾグラフが破られたことでマンモゾーアはコントロールを失い、ぶ、物質界へと侵入することができなくなった…」

パパは全身を使って深く呼吸しながら、ゆっくりと言葉を続ける。

「勇者たちは勝利したのだ!彼らは天空龍の背に乗り、地上へと戻ったのだ!すぐさま帝都に英雄として迎え入れる準備を始めよ!」

そう言うと、パパはそのまま気を失った。

帝都は、いや、全世界は歓喜に沸き立った。アレニアでは、その城門から宮殿に至る大通りに即席で凱旋門が建造され、その仕事の早さには誰もが舌を巻いた。それより街の復興を優先すべき、という者もほぼいなかった。世界を救うという偉業の前に、異論を挟むものはいなかったのだ。

だが、その数日後、世界はまたも衝撃と悲しみに包まれることになる。

駿馬を駆る伝令兵がやって来て伝えた。

勇者ヒルメスが死んだのだ。

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