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【異世界軍記物語】総括のコンジェルトン
第一部 帝国の分裂
第七章 最終決戦 / 闇からの招待
③
2日後の朝。それは異様に赤い朝焼けだった。
大臣から下男下女まで、宮殿のすべての人々は庭やバルコニーからその真っ赤な空を眺めていた。
「…始まったな…」
「まさか…」
「孵化したのか…?天空龍が…」
「馬鹿な!100年はかかると聞いたぞ!」
「レイガルの剣…ついに抜いたのか……?」
「奇跡を起こすというあの剣を……」
「それ以外にどう説明するというのだ……」
「ゴゥァァァァァァ!!!ヴォェア!ギャァァァァァァァ!!」
やがて、凄まじい叫び声が世界を覆った。
「間違いない!天空龍だ!」
「レイガルの剣の力で急速成長を遂げたか!」
――そしてこの後、さらにとんでもない事態が!
「見よ!空が割れている!!」
人々はこぞってフォーオンの大遺跡の方角の空を指さした。
それはあり得ない光景だった。
朝焼けの空が、まるでガラスのようにひび割れている。そしてその割れた破片が、ぽろぽろと大地に向かって落下しているのが見えた。
「ボォォエァァアアアアアアアアアアア!!」
またしても恐るべき咆哮が大地に木魂した。それは明らかに天空龍とは別の”なにか”によるものだった。
ワタシは眼の前で展開されている事態が現実のものなのか、それとも夢か、転生前の世界で使ったことのあるアヤワスカ・アナログの幻覚なのか、区別ができなくなっていた。
空のひび割れが全天球に広がったかと思うと、その中心にぽっかりと穴が開き、その中にさきほどまでの赤い朝焼けの光が収束して吸い込まれていく。そして気付いた時には、空は雲一つ無い晴天に変わっていた。
ワタシはあまりの事態に思わず周囲をキョロキョロと見回した。皆呆気にとられている。そうか、ワタシが見たものは、幻覚ではなく現実だったのか――。
――と、その時!
「ゴォ、ギャァァァァァァァ!!!」
「ボォォエァァァァァァァァァァアアア!!」
”2体”の巨大な咆哮が、人々を現実へと引き戻した。
「天空龍が…亜空間に侵入したのか……?」
天空龍――。この世に存在する魔力を操る生物「魔獣」の中でも最強クラスと言われる存在。未だ誰もその姿を見たことがないと言われるそれは、物質界、冥界、精霊界を自在に行き来することができるという。そう、根源的破壊招来体の使徒、マンモゾーアと同じように――。
「ボェ、エァァァァァアアアアアアア!!!」
「ゴゥギャァァァァァァァァァァァァァ!!!」
亜空間の存在を、肉眼では確認することはできない。しかしその空間を舞台に2体の最強クラスモンスターの戦いが始まったことは、その場にいる誰もが理解していた。
そして、そのことはその真下、魔晶石の力によって浮かぶという天空城においてゾグラフ・ゾンビと勇者パーティーの最終決戦が始まったということをも意味していた。
天空龍とマンモゾーア
レイガルの剣とウルティマ・バングル
それぞれの”最強”同士の決戦により、もう間もなく世界の命運が決せられようとしていた――。
一体、どうなってしまうのか!?
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