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不登校 HSC

 息子が学校へ行かなくなって、私は一週間くらいオタオタしていた。ずっと家にいる息子。どう接したらいいのかわからず、とりあえずどこかに連れ出そうとするも「行かない」とフラれ、大好きなお酒も飲むきになれず、何をしても力が入らない。
 やっと図書館に行こうと思えた時、少し力が出た。本当はこうやって人は復活していくんだなと思った。息子はオタオタの場所から出られずにいる。

 不登校関連や児童心理学の本を色々漁っていると目に入ったのが「HSC」highly sennsitive child に関する本。人一倍敏感な子。

 私の息子は小さな頃から大人の大きな声にすごく敏感だった。例えば落ちている石ころを口に入れようとするところを、見ていた大人が「汚いよ」と注意しただけで息子は泣き崩れた。注意した大人の方もびっくりして私が「うちの子ちょっと敏感で」と謝るそんなことが多々あった。だから私も自然と息子に対して穏やかに接するようになっていたし、息子も成長するにつれて強くなってきていると思っていた。
 でも実は息子は成長しても同じように受け止め続けていたのかもしれない。ただ泣き崩れなくなっただけで。

 今の息子の担任の先生は少し厳しいところがあって、すぐ怒るという評判だ。私の娘の担任だったこともあって、その頃から子供の成績を重視しがちなところとか、話をしても噛み合わないところとか、ちょっと心配な先生ではあった。でも世の中には色んな大人がいるのだし、子供は意外とうまくやっていくものだと誰かが言っていたので気にしないようにしていた。
 息子が風邪で二週間ほど休んだ後学校へ行った日に先生から電話があった。「実は息子さんとちょっとありまして。」聞くと、休んでいた間にテストがあって、それを休み時間に息子にさせていたのだけれど、集中できていない様なので先生が声をかけたら息子は泣いてしまった。落ち着いてから息子がなぜ泣いたのか先生が聞いたところ、先生がしつこく言うからと答えたそうだ。先生は一度しか声かけはしていなくてしつこくしたつもりはなかったと言っていた。
 私は先生に息子が少し敏感だということを伝えた。でも言っている私もその時は、その敏感であるということをさほど特殊なことだとは思っていなかった。

 何冊か借りたHSC、HSP(highly sennsitive person)関連の本を読み進むうちに、これは私のことを言っているのでは?と思った。子供の頃の私こそすごく当てはまっている様な気がして、誰のために読んでるのかわからなくなった。過去の色々なことが私がHSCだったからだとすると腑に落ちる。クラスメートに悪口を言われたり疎まれたりしていたと思っていたけれど、それは私が勝手にそう感じてしまっていただけで、先生に「お前はなんですぐ泣くんだ」と言われたことをすごく覚えているけど、私自身もなぜかわからなかった。それは私がとても敏感だからだったのか?

 私はそういう自分が嫌いだった。でも何で自分が人にビクビクしているのか、すぐ泣くのかわからなかった。もし、あの時の私に「あなたはとても敏感で、人の気持ちを考えすぎるところがあるけれど、それは悪いことではなくて、あなたにはとても良い部分があるのよ」って言ってくれる人がいたら、私は今もうちょっと自分に自信を持てる人間になっていたのかな?私は自分が嫌いで、でも変わろうとする強さはあった。今でもビクビクしているけど、そんな感覚とうまく付き合ってきている。

 HSCのことを知って、息子や娘のことをもう少し深く見る様になった。その行動の奥にある気持ちは何なのか、ただ大声で叫んでいるのではなくて、理由があって叫んでいるのでは?と考えられる様になった。例えば、誰かが発する何気ない音にとても不愉快になっているとか、着ている服の感触が気に食わないとか、大人からすればそんなことっていうことが敏感な子にはすごくストレスだったりするのだ。取り除くのは無理でも共感することはできる。それは私もそうだったから。

 何もしなくても、HSCでも強く生きていける。でも知って少しだけ気遣ってあげてそれが子供の自尊心に繋がるなら、私は子供たちの敏感な部分をもっと積極的に尊重していこうと思った。 


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